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2016年2月29日

「シュッとした」は「コテコテ」の反対

大阪人の言う「シュッとした」ということの意味が、長いこと今イチよくわかっていなかった。ネット上の weblio 辞書 で調べると、「今風(の)、あか抜けた、研ぎ澄まされている、洗練された、スマートな、すっきりとした、締まっている、かっこいい、涼しげな、嫌らしさのない」と、ずいぶんいろいろなニュアンスが出てくる。なんとなくわかるが、「それで、つまり、どういうことなんだ?」 と、しっくりはきていなかったのである。

知り合いの大阪人に聞いても、「うぅん、要するに『シュッとした感じ』のことを言うんですわ」ってなことで、まあ、あまりにも感覚的すぎてよく伝わってこないのである。わかっている者には当たり前にわかるのだが、わかっていない者にはなかなか難物の言葉だ。

で、最近、京都出身で大阪と東京でも長く暮らしたことのある友人に聞いてみて、これまでよりなんとなくよくわかったような気がした。彼はしばらく 「うぅん、このニュアンスを説明するのは難しいなあ」と悩んでから、次のように言ったのである。

「誤解を恐れずメチャクチャ早く言ってしまうと、『コテコテ』の反対と思えばいいのかもしれない、そして、いい意味か悪い意味かといえば、それは明らかに『いい意味』の言葉だと思う」

なるほど、そうであったか!「コテコテの反対」が「シュッとした」感じだったのか。

東日本の人間からすると、大阪人の代表的キャラは「コテコテ」と思っているようなところがあるが、その対極として「シュッとした」という価値感があるとは、新しい発見だった。関西文化の重層性を見る思いがした。

そして気をつけなければならないのは、「シュッとした」感じというのは、東京的なスマートさとは一線を画していて、あくまでも関西的な洗練の形でなければならないようだということなのである。そうでなければ単なる「脱コテコテ」にすぎず、「なんや、あいつは、東京に染まってしまいよってからに」ということになりかねない。

 

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コメント

「シュッとした」「シュッとしてはる」等を日常的に使う者ですが、成る程これらの語句が「コテコテの反対語である」というのは、今まで気付いていなかった、ちょっと新鮮な解釈でした!

投稿: Ace-K | 2016年3月 1日 09:37

Ace-K さん:

コメントありがとうございます。

関西ネイティブからの 「そら、ちゃうやろ!」 という反論でなくて、安心しました。

投稿: tak | 2016年3月 1日 09:54

ふうむ、大阪に14年居住してましたが、「シュッとした」という表現は一度も聞いたことがないですねえ。ここ30年以降に使われるようになったんでしょうか。
気になるのでちょこっと調べてみました。
以下、ヤフー知恵袋から抜粋。

■シャンと~は真面目で清潔な感じ
シュッと~はなんちゅうのか色気がある感じ

(コテコテには確かに色気はない)

■あまり名前の知られてない若手漫才師コンビを指して
「〇〇てどっち?」
「シュッとした方」

(痩せた、背の高い、顔つきがすっきり、さっぱりとした、などなどその場においていろいろないい意味に解釈されるようです)


投稿: ハマッコー | 2016年3月 2日 00:24

ハマッコー さん:

私も大阪には縁のある方ですが、前はあまり耳にしたことがなくて、それだけにしっくりと理解できていなかったわけなんですよ。

意味が幅広いだけに、「コテコテ」と対で理解するのがいいみたいですね。

投稿: tak | 2016年3月 2日 01:06

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