「勝った負けた」の世界に入れ込みすぎると
遅ればせながら、プロ野球の勝敗に伴う金銭のやりとりに関する問題について書く。
読売から昨年のうちに 3人の野球賭博関与者が出て、それで一件落着かと思われたが、今年になってもう 1人発覚した。そのせいでナベツネの読売最高顧問(だったっけ?)辞任という効果まで生じて、一部では歓迎されたなんてこともあった。
しかしそれだけじゃなく、「声出し」なんていう妙な慣行での金銭のやり取りなんていうのまで発覚して、ややこしいことになっている。これは 12球団で 7球団がやっていたんだそうだよ。「JCAST テレビウォッチ」というページによると、こういうことなんだそうだ。(参照)
円陣組んだ選手が 5000円を出し合い、巨人が勝てば先頭に立って声出しした選手が総取り。負けると声出しした選手が他の選手すべてに 1000円ずつ払っていた。
私としては「へえ、そんなことやってたのか!」 と驚いた、というか、「そんなうっとうしいこと、ようやるわ」と、馬鹿馬鹿しさを感じてしまった。球団としては、「ゲン担ぎ」とか「ご祝儀」とかいう認識で、とくに問題になるとは思っていなかったらしい。まあ、確かにいわゆる「賭博」とは言いづらいかもしれないけどね。
しかし Diamond Online というサイトには、スポーツライターの相沢光一氏が、読売のケースを次のようにより詳しく紹介している。(参照)
まず野手全員が、ひとり 1000円ずつ出し合う。試合に勝った場合は試合前の円陣で声出しを行なった選手がご祝儀として、その総額を受け取るというものだ。次の試合も同じ選手が声出し役を担当。ひとりが出す金額も連勝だと 3000円、3連勝だと 5000円と上がっていく。ベンチ入りの野手の人数は 17~18人程度。17人だとしても声出し役の選手は 1勝で 1万7000円、3連勝すれば 8万5000円が入るわけだ。
ここまでくると「馬鹿馬鹿しい」とか「うっとうしい」とかいうより、「頭悪いんじゃないの?」というレベルである。ごくフツーに考えたら、少なくとも試合に勝つためのインセンティブになんかなっていないと思う。
だって、試合に勝ったら報奨金がもらえるとかいうならともかく、逆に勝つ度に 1人の野手が出さなければならない金額が増えて、それがたった 1人の選手に総取りされるなんて、馬鹿馬鹿しいにもほどがあるじゃないか。私なんかみみっちいから、連勝なんかしたくなくなっちゃうと思うぞ。それに、負けると 1000円もらえるなんて、厳密に言えば八百長の可能性を疑われても仕方がない。
ははあ、そうか、これで理解できた。プロ野球は 3試合のうち 2勝すれば勝率的にたいてい優勝できてしまうが、逆に言えば、優勝チームでも 3回やれば 1度は負けるということだ。これはきっと、野手の中で無意識的な「連勝したくないシンドローム」が蔓延しているせいなのだろう。まあ、これはもちろん冗談だが。
野球賭博の問題に関しては、いろいろな記事に「野球選手は日頃から勝負の世界にいるので、勝った負けたの賭け事が好きな傾向がある」なんてことが書かれている。しかし私はこれも理解できない。ビジネスとして勝ち負けの世界にいるなら、仕事を離れた時ぐらい、勝負とは無関係の世界にいたいと思うのが人情だと思っていたが、どうもそうじゃないらしいのだね。
このあたりは、「勝った負けた」にあまり興味がなくて、自分でやるのも、試合形式の存在しない合気道とか登山とかいうことばかりだった私ごときには、理解を超えたお話なのかもしれない。理解を超えてしまうだけに、「勝った負けたの世界に入れ込みすぎると、頭がおかしくなるみたい」なんて偏見まで抱いてしまうのである。
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