「巫女さんのくせに」発言への、的外れな批判
大西英男衆院議員(自民党所属)の「巫女さんのくせに」発言(参照)が、「女性蔑視につながりかねない」とか「職業蔑視」とか言われて批判されているが、それってあまりにも的外れなステロタイプだと思う。これ、文脈からみれば、女性や巫女という職業を蔑視しての発言ではないとわかる。
じゃあなんでまた「巫女さんのくせに」なんて言ったのかと想像するに、これはもう「巫女さんは神社関係者なんだから、当然にも自民党支持であるべきなのに、『自民党はあまり好きじゃない』とは一体どういうことなんだよ!」と言っているのだとしか思われない。つまり「蔑視」という文脈ではなく、自分の政治的思い込みが外れたことによる「軽率発言」と解釈すべきだろう。
一般的傾向として、神社関係者は政治的には右側で、とくに「右翼バネ」発揮しまくりの安倍政権をかなり積極的に支持する人が多い。もちろん全員がそうというわけじゃないけど、その傾向が圧倒的に強いというのは、多くの人が認識しているだろう。
だから大西議員の「私は神社関係を中心に回ったが、私の世話を焼いた巫女さんが 20歳くらいだった。投票が初めてだということだから、ひとつ口説いてやろうと思った」という発言も、「投票が初めてということだから」という文脈からすれば、まあ、言い方はオヤジ趣味丸出しで不愉快ではあるが、モロに下世話なことを狙っていたとも考えにくい。「自民党をヨロシクね」というネタをダシにして、ちょっと仲良くなりたいぐらいのことは思ったのかもしれないけどね。
要するに大西発言は「女性蔑視」や「職業蔑視」という観点からではなく、「巫女さんなんだからさあ、『自民党大好き』と言ってほしいよね」という因習的思い込み、別の言い方をすれば、「職業的立場は政治的自由に先立つべき」との理不尽な考えをポロッと白状しちゃったことによってこそ批判されるべきなのだ。
大西議員はもしかたら、「巫女さんが『自民党があまり好きじゃない』なんて、おかしいよね。神社関係者は身内みたいなものなんだからさあ」という見解が、世間的にも共感されるだろうと考えたのかもしれないが、言い方のセンスがないせいで、おかしなことになってしまったわけだ。本来は「自民党が好きじゃない」という巫女さんがいてもいいのである。身内にとっては不愉快かもしれないが。
とまあ、ここまではポリティカル・コレクトネス(政治的公正)の視点からの見解を述べたわけだが、ここから先は、ちょっと「下世話な人情論」の視点でものを言う。
それはただ一言、「自民党はあまり好きじゃない」と発言した巫女さん、「20歳にもなって、あまりにも率直すぎるものの言い方をしちゃったみたいだよね」ということだ。政治家先生に仕事で接したんだから、もう少し配慮とかお愛想とかがあってもよかったよね。
一般企業でそんな言わなくてもいいことをお客に対して口走ったら、上司に怒られるレベルの馬鹿正直さである。トヨタの重役を案内した関連企業の女子社員が、「トヨタはあんまり好きじゃない」と言ってるようなものだものね。
要するに「どっちもどっち」というお話なのだが、そこはそれ、本来なら酸いも甘いもかみ分けた大人の方が、上手なオチをつけてあげればよかったのである。大西議員、あまりにも芸がなさすぎだったのだ。
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コメント
うへぇ…
なんだかしょうもないですな…(´・ω・`)
投稿: ひろゆき王子 | 2016年3月26日 00:56
ひろゆき王子 さん:
この大西さんという人、ちょっとオッサンすぎですね。
投稿: tak | 2016年3月26日 23:44