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2016年4月27日

蛙と環境 2

田植えのシーズンになり、田んぼに水が張られたので、今年もついに蛙が鳴き始めた。蛙は雨が降りそうに鳴ると喜んで鳴き始めるといわれるが、ここ、つくばの地はさすがにガマガエルの本拠地みたいなところで、ガマガエルに限らずアマガエルまで天気に関わらずひっきりなしにゲコゲコ鳴いている。

ただ、この地に引っ越してきた 35年前の蛙の鳴き声は、こんなもんじゃなかった。蛙の鳴き声をテーマにした『筑波山麓合唱団』という歌があるが、あの頃は「大合唱団」といった様相で、毎日毎日大変な大音響だったのである。

この蛙の大音響を「うるさい」と感じるようだと、この辺りの人間は生きていられない。どうやら人間には、蛙の鳴き声を「聞こえても聞こえない音」とする DNA が組み込まれているようで、どんなに大音響でもちっとも苦にせずに、夜もしっかり寝られる。このことに関しては、10年以上前に「蛙と環境」というタイトルで書いている。

ただ、この 10年前の記事でも書いているが、近頃蛙の鳴き声がめっきりおとなしくなってきた。つまり蛙が減ってきているのだろう。今、我が家の周囲で聞こえる蛙の鳴き声も、何匹いるのか、しっかり聞き分けられる。ちなみに今は、5匹の蛙が鳴いているとわかる。30年前は無数の蛙の声が一塊となって、個別の鳴き声を聞き分けるなんてとてもできなかった。

蛙の減少はここだけでなく世界的な傾向のようで、これには除草剤と化学肥料の使用が関係していると、南フロリダ大学(University of South Florida)の研究チームが発表している(参照)。ただ私としてはそれだけでなく、紫外線の増加が、体表面に毛がなく丸裸の両生類にとって、かなり悪影響を与えているのではないかとみている。

オゾン層の破壊が止まり、農薬や化学肥料の使用が控えられれば、生物多様性の維持という視点からはかなりいい影響があると思う。蛙の鳴き声が個別に聞き分けられる昨今、環境破壊はまだまだ進んでいると如実に感じてしまうのである。

 

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