自分で自分の近所のことを「お膝元」なんて言うなよ
昨日の昼頃、TBS ラジオを聞いていると、赤坂の某老舗の紹介をする際に、女性アナウンサーが「TBS のお膝元、赤坂の老舗」 と言っているのを聞いて、ちょっとびっくりした。「自分で自分の近所のことを『お膝元』なんて言うなよ!」ってことである。
まあ、彼女は原稿を忠実に読んでいただけなのだろうが、たとえ原稿にそう書いてあったとしても、私だったら咄嗟のアドリブで「TBS の地元、赤坂の老舗」ぐらいに読み代えるだろうと思った。そうでないと、言ってる自分が気持ち悪くなる。
念のため。「お膝元」 をネット辞書で調べると、次のようにある。(Goo 辞書)
お‐ひざもと【▽御膝下/▽御膝元】
1 貴人のおそば。
2 天皇や将軍などのいる土地。首都。「幕府の―を騒がす」
3 権力者の直接の支配下。「家元の―で起こった不祥事」
言葉通りに聞いてしまうと、TBS は自分で自分の会社を貴人、権力者扱いしているということになる。要するに、「驕り高ぶり過ぎ」か、そうでなければ「言葉を知らな過ぎ」ということだ。
それとも最近は「お膝元」を単に「地元/近所」という意味で使うようになったのだろうか? いや、いくら「言葉は生き物」といっても、そこまで変わってしまったわけじゃなかろう。これはやっぱり、言葉の誤用としか思われない。
言葉のプロであるはずのラジオ局の制作者としては、少しは気をつけてもらいたいと思ったのであった。
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コメント
TV. で名産品などの試食をする際に、ゲストに「さぁ、頂いてください」と勧めている司会者を目にすると、敬語や謙譲語を勉強せい!と、イラついてしまいます。
つい校正してしまう習い性、我ながらイヤですねぇ。
投稿: さくら | 2016年4月 4日 23:47
さくら さん:
「頂く」 をゲストの行為として言うのは、冷や汗出ますね ^^;)
投稿: tak | 2016年4月 5日 23:59
アナウンサーを日本語のプロなんていう幻想を視聴者(聴取者)が勝手に作り上げてしまっているのかも。
でもやはり、視聴者より上であって欲しい。
神社の社頭でアナウンサーが ”てみずしゃ” と言ってるのにずっこけました。
机の上に「難読漢字集」なんていう本が置いてあると思うんですけどね。
tak さんが以前に書かれた「依存」を正しく読んでいるアナウンサーは半数位のようです。
投稿: ハマッコー | 2016年4月 8日 13:55
ハマッコー さん:
「チョウズを回せ」 と言われて、長い頭をクルクル回すことになる 「手水回し」 という落語は、今となっては理解されないリスクがあるんでしょうかねえ ^^;)
投稿: tak | 2016年4月 8日 21:29