12年前に原爆ドームを目の当たりにして思ったこと
バラック・オバマが、現職の米国大統領としては始めて原爆ドームを訪問するという。いいことだと思う。米政府はこれが原爆投下の謝罪につながるものではないと、かなり神経を使ってアピールしているが、日本人の多くは、どこかの国のように執拗に謝罪を求めるつもりはなく、ただ「訪問すること」に意義があると感じていると思う。
私は 12年前の 3月に、始めて原爆ドームを訪れた。上の写真はその時に撮ったものである。12年前のコンデジって、こんなに解像度が低かったっけと思うほどの写真だ。この時のことは、当時の「和歌ログ」に「世の中のなべての人よ来て見よやおのが遺伝子の為せるこの業(わざ)」という歌とともに、次のように記した (参照)。
これは、すべての人が訪れて生で見るべき世界遺産だ。我々のすべての遺伝子の中に、こんなことをしでかした資質が組み込まれているのだと思うと、悲しささえ覚える。
すべての暴力的遺伝子の、最大限に発揮された結果がこれだ。小さな 「いじめ」 から 世界戦争に至るまでの元になる遺伝子の象徴だ。こんな遺伝子情報を発動しないように、常に「スイッチ・オフ」にしておかなければならないと思った。
「世の中のなべての人よ来て見よや」という上の句のとおり、私は世界の全ての人がこの原爆ドームを訪れてみるべきだと思った。そして「おのが遺伝子の為せるこの業(わざ)」を目の当たりにすべきである。こんなことをしてしまったのは、人間の中にある暴力的な遺伝子である。
だから私は、米国大統領に謝罪を迫ろうとは思わない。どうせいくら言ったって謝罪なんかしないだろうし、そもそもこの世界遺産の意義は、米国が広島に原爆を落としたという、ただ一つの事実だけにフォーカスされるものではない。もっと大きな広がりをもつべきなのだ。
原爆ドームを訪れた人間がその次にすべきなのは、自分の中の過激な暴力的遺伝子を「スイッチ・オフ」することだ。そこに気付くことが重要である。
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コメント
私の記憶の中には、オペラの名場面に涙した独裁者が幕間に数十人の粛清リストに許可のサインをする、というシーンが残っています。それもまた、映画だったのか小説だったのか思い出せませんが・・・
>おのが遺伝子の為せるこの業 (わざ)
↑確かに私たちの遺伝子の振れ幅のあまりの大きさに圧倒されそうになります。
>米国が広島に原爆を落としたという、ただ一つの事実だけにフォーカスされるものではない
その通りですが、相手が日本でなければ、黄色人種でなければ、非白人でなければ、原爆投下の最終決断をしただろうか?とも思います。
現在の北朝鮮が頑なに核保有に拘る遠因を作ったのも米国だと思うのです。
投稿: ちくりん | 2016年5月13日 16:28
ちくりん さん:
>相手が日本でなければ、黄色人種でなければ、非白人でなければ、原爆投下の最終決断をしただろうか?とも思います。
多分、原爆投下はなかったでしょうね。ドイツも日本同様に猛烈な空爆を経験しましたが、原爆は落とされずに済みました。
「暴力的遺伝子」というのは、そのことも含めて怖いものですね。
投稿: tak | 2016年5月15日 17:23
投下のボタンを押させた(命を下した)人が、化けて出てきて謝罪してくださるなら、そりゃ意義のあることと思います。
オバマさんが命を下すことはないと思うので、ご覧になった思うがままを、世界に発言してもらいたいと思ってます。
しかし、何回も見ていらっしゃる方なのに、「自衛隊に戦争させる」ボタンを押す法案を通しちゃいましたからね。
化けて出なくても良いうちに、なんとか軌道修正しないと…。
投稿: 乙痴庵 | 2016年5月16日 12:46
乙痴庵 さん:
>ご覧になった思うがままを、世界に発言してもらいたいと思ってます。
同感です。馬鹿なことは言わない人と思うので。
そういえば、同行する安部さんは、何を言うのでしょうね。
投稿: tak | 2016年5月17日 21:49