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2016年5月19日

そもそもクルマの燃費って、一体何なんだ?

三菱自動車の燃費データ改ざんが散々叩かれていたと思ったら、今度はスズキ自動車まで不正をしていたということで、日本の製造業界もなんだかあまり信用できないみたいな様相になってきている。しかしよく考えてみると、クルマの燃費という概念なんて、実は誰もよくわかっていないんじゃないかという気がしてきた。

そもそもクルマの燃費のカタログ・データなんて、誰もまともに信じちゃいない。一応の目安みたいなことにはなっているのかもしれないが、カタログに記された燃費がフツーの乗り方で実現されると思っているユーザーがいるとしたら、あまりにも無知ということになってしまう。

あれって、インターネット接続の速さの「ベスト・エフォート」よりちょっとマシかもってなぐらいのものでしかない。だから、今回の三菱自動車の騒ぎにしても、問題にされているのは燃費データの不正確さそのものよりも、同社の不誠実な社風ということのなのだと思う。要するに、発表されていた燃費がほんのちょっとだけ不正確だったという「事実」より、「三菱自動車って、信用できない」と思われてしまったことが大きいのだ。

だから新たに発覚したスズキ自動車のデータ操作にしても、スズキの経営陣としては「カタログ数値への影響は小さく、誤差の範囲内だから OK」なんて言っているようだが、それはひょっとすると、高をくくりすぎているかもしれない。要は「信用」という問題なのだ。クルマって、乗っている間は命を預けているのだから、「信用」というファクターはかなり大きい。

一方、「燃費って、そもそも何なんだ?」ということに関しても、なかなか難しい問題である。そんなもの、条件によっていくらでも変わってしまうのだから、相対的なものでしかない。今夜の TBS ラジオでこの問題を取り上げ、自動車評論家という肩書きの人間が複数登場していろいろご託を並べていたが、フツーのユーザーには今イチ伝わりにくい内容だった。

それもそのはずで、自動車評論家というのは「クルマ好き」が昂じてそうした商売をするようになったのだから、どうしても「クルマ好き」の目でしか今回の問題をみることができない。「クルマって嗜好品だから、燃費だけが問題じゃない」とか「最終的にはユーザーが好きなクルマを選べばいい」とか言っていたが、それじゃ、「クルマ好き以外の市場」での話としては、「ほとんど何も言ってない」のと同じである。

パソコン好きが高じて「IT 評論家」になった人たちが、新製品が発表されると「期待されたほどの新機能がない」なんて言っているのも同様だ。フツーの PC ユーザーは「新機能」なんて求めちゃいないのである。古くなった PC の需要なんてほとんどが単なる買い換え需要なんだから、「新機能がありすぎて使い勝手が大きく変わっちゃ、かえって困る」のだ。

だからクルマの燃費にしても、「月間で締めてみたら、前に乗ってたのよりガソリン代が安くなってた」ってな実感が大切なのであって、それ以上にゴチャゴチャいう必要はあまり感じない。ただ信用失墜になるようないい加減なことをしないでくれれば、それで OK なんじゃないかと思うのだよね。

 

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コメント

三菱自動車が燃費の不正表示を発表して大騒ぎになっていますが、どうも他社との数%の差を気にしてそっちに走ってしまったらしい。
人が車の選定をするときの優先事項としては、まずは用途にあっているか、次はデザインであったり内装であったり、つまりクールかどうか、次辺りに燃費が来るんじゃないかと思います。燃費は最重要事項ではない。

しかし、三菱の燃費に関係する部門にとっては、寝ても覚めても”ネンピ”は社内的に譲れない事項だったのでしょう。それなら技術開発で挑戦すればいいものを不正に手を染めてしまった。
過去に同様の大失敗をして大けがをしているのにです。

一方、日産にとってはわずか2300億で三菱を傘下に収めることができた。ゴーン社長の決断の速さには驚く。日本人社長だったらこうはいかない。微笑んでいるのは日産。

スズキは、”誤差の範囲内” なんていらんことを言わなければよかったのにと思います。
記者会見の前に釈明の文言について十分な検討をしているはずなのにどうしちゃったのか。
国の指定する測定法では、29.8km/Ⅼ、スズキの測定法では30.0km/Ⅼ と言う説明なら、消費者は大した違いはないじゃんと勝手に思ってくれる。メーカーが ”誤差の範囲内” と言ってしまうと開き直りになってしまう。

まだ、”うちもやってました” なんてことを言い出すメーカーが出てきそうですね。自動車は日本の基幹産業ですから破壊力はすごい。

投稿: ハマッコー | 2016年5月20日 16:09

ハマッコー さん:

三菱は、パジェロとデリカとアウトランダーでメシを食えばよかったのにと思います。それから、走り屋さん向けの (今は亡き) ギャランと。

このあたりに特化したメーカーになっていれば、燃費をそんなに気にすることもなかったのに。

しかしそれだけでは販売台数という数字が伸びないので、余計なことまでしてしまったとしか思えません。販売台数よりも利益を追うという発想ができなかったんでしょうね。「三菱」 の看板が邪魔して。

余計なことばかりするので、パジェロのポジションは、ランクルよりずっと下になってしまいました。

かくなる上は、日産傘下になって、往年の 「ゼロ戦」 みたいな小型飛行機を作るとか。

投稿: tak | 2016年5月20日 18:11

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