どうしてまともな都知事が選ばれないのか?
舛添都知事に、まさに十字砲火のごとき非難が浴びせられている。東京都民の間でも、「セコい」だの「ネコババ」だの、散々な言われようだ。しかし私は東京都民じゃないから、「その舛添さんを選んだのは、あんたたち東京都民でしょ」と言いたくなってしまうのだよね。
「いや、あの時の投票率は 46%しかなくて、舛添さんはそのうちの 43%を得ただけだから、都民の 20%が支持したに過ぎない」 と反論する人もあるかもしれない。しかし、投票率 43%という時点で、半数以上の有権者は、最有力候補を暗黙のうちに支持したといわれても仕方ないのである。舛添さんが嫌だったら、積極的に対立候補に投票すればよかったのだから。
世の中は米国のトランプ旋風を呆れて見ているが、私に言わせれば、東京都知事選挙だって相当いい加減なものだった。昔から都知事にはろくな人がいない。1979年に当選した鈴木俊一さんがややましな都知事で、その前の美濃部さんがガタガタにしてしまった都財政を立て直してくれた。しかしよせばいいのに四選なんかしちゃったものだから、末期には裸の王様状態だった。
その後の青島幸男さんは、他に文句を言う才能はずば抜けていたが、自分が当事者になった途端に、何もできない人になってしまった。あの頃都庁に行くと、役人たちがものすごくだらけていたのを覚えている。都知事が役人になめられていたのだ。
青島さんとしてもさすがに居心地が悪かったらしく、一期でやる気をなくして、その後に都知事になったのが石原慎太郎さんである。この人、ある意味「恐怖政治」を敷いたものだから、都庁の中が青島時代から一転してピリピリした緊張感に包まれていた。役人がだらけなくなったのはいいが、政策的には、米国のトランプ氏のさきがけみたいなものだったと、私は思っている。
石原さんの三選だけでも私は呆れて見ていたのに、さらに東京都民は四選さえもさせてしまった。私は 「あの、文句を言うだけで当事者能力ゼロの青島さんを選んだ人たちだもの、石原四選もしょうがないか」と、無理矢理に自分を納得させたものである。
そして友だちのいない猪瀬さんの後に、「人の金なら使い放題だぜ」の舛添さんである。舛添さんは今は辞任の素振りは全然見せていないが、任期を半分以上残してレイムダック状態なのだから、多分もたないだろう。
次の都知事選挙になったら、東京都民には今度こそまともな都知事を選んでもらいたいと思う。本当にそう思うのだが、青島、石原、猪瀬、舛添と、こんなにも連続してびっくりするような人を選んでしまっているのだから、実際には期待するだけ無理なのかもしれない。すっかり失望してしまう前に、予防線として期待しないでおこうという気にさえなってしまう。
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コメント
美濃部さんは ’67、’71、’75年の三選までですね。
何でも無料化で、終いには、し尿汲み取りまで無料ににしてしまいましたね。
一人でも反対者がいれば道路は作らないと言ってインフラ整備を大幅に遅らせてしまいましたね。
青島さんは選挙がうまかっただけで何もしない人でした。
定例会見で、答えにくい質問をされると15分くらい沈黙をし続けたことがありました。二時頃には退庁してしまうし。あのひと政治家なんかやらなければ晩節を汚さなかった。
多分、同時期に大阪には役人が作った答弁書にルビを振ってもらった横山ノック知事がいた。彼は選挙カーの中で強制わいせつを働き有罪判決を受け辞任することになった(この事件は不可解な部分が多く嵌められたと個人的には思う)
舛添さんは、次から次へと飛んでくる矢に抗しきれず前回の定例会見で見られた顔つきとは今回は明らかに違う。本人はもう覚悟しているでしょう。
東西おかしな知事が大都市に続いたのはは、はっきり言って有権者が愚かだったとしか思えない。
次回の選挙がいつかは分かりませんが、こんどこそ
「選挙に行かないと、有利と思われている人に投票したのと同じことになりますよ」
と有権者は自覚しなければならない。
これを誰がいうか、選管は言えない。
メディアは結果を予想するだけだし。
投稿: ハマッコー | 2016年5月22日 10:21
私は東京都民ではありませんが、都知事の動静にはかなりの関心を持って見ています。
先日TV番組で、あるアナリストが言っていたことですが、都知事に当選するには、「政治手腕・資質プラス『知名度』が必要なのです。」とのこと。
加えて、「どんなに手腕・資質があっても『知名度』がなければ当選できません。」と強調されていました。
候補者の「政治手腕・資質」なるものを一般市民がある程度把握するには結構な時間、手間、若干の費用を費やさなければいけないし、そこまでやって選挙に臨む人っていないのでは・・・。結局、メディアに露出しまくって、口達者で、一見知識人的な人を気軽に選んでしまったのでしょうね。
自分たちの首長なのですから、血税をいいように私的流用するような人を選ばないためにも、本当は前述したような手間を惜しんではいけないのでしょうね。まさに、「言うは易く行うは難し。」です。
投稿: K.N | 2016年5月22日 12:12
ハマッコー さん:
まさに、東西の大都市圏でおかしな知事が輩出してますね。
これって、構造的な問題で有権者が愚かにされてしまっているとしか思われません。
というか、有権者の愚かさが、大都市で増幅されて現出するとか、そんな印象です。
投稿: tak | 2016年5月23日 01:40
K.N さん:
第一にモノを言うのが 「知名度」 ということになってしまってますね。
有権者の半分以下しか投票所に行かないのに、その人たちの投票行動は、「知名度」 に左右されるとは、皮肉すぎる現象です。「知名度」 に左右されない 「冷めた人たち」 は投票に行かないのでしょうね。
投稿: tak | 2016年5月23日 01:43