もらって困るモノ
もらって困るモノというのがある。というか、もらい物って、実は困るモノの方が多い気がする。
まず困るのは、「置き物」「飾り物」の類いである。花瓶、置き時計、人形、得体の知れない書画の入った額、はたまたわけのわからない置物等々、我が家のインテリアはシンプルさを旨としているので、趣味の合わないモノは置きたくない。かといってもらい物は無闇に捨てるわけにもいかないので、本当に困る。
仕方がないので、数年間は物置にしまっておいて、ほとぼりの冷めた頃にバザーか何かに出す。ところがそういうモノの多くは、10円とか 20円とかいう値段でも売れ残る。多分 1円でも売れないだろう。しょうがないので、最後はリサイクルショップに持ち込む。大抵は 「値段がつきませんよ」なんて言われるが、「タダでもいいから、引き取って下さい」と、半ば強引に押しつけて、ようやくせいせいする。
衣料品も困る。最ももらうことが多いのは、オジサンの背広とビジネスシューズ姿に似合う靴下セットだが、10年経っても絶対に履かないと確信されるので、もらってすぐにウェス(汚れ拭き)にしてしまう。合繊使いが多いので油汚れには親和性があるようだ。
かなり前に勤め先の上司が定年退職する際に、「松坂屋お仕立て券付きシャツ地」というのを記念にくれた。そのシャツ地というのが、軽薄なブルーのチェックで、まったくそそられなかったが、一応仕立てておかないと、後で顔を合わせることがあったら話の持って行きように困ると思い、帰りに渋々松坂屋に立ち寄った。
オーダーシャツ売り場というところには、怖い顔をしたオバサンがいたのを覚えている。こちらが恐る恐る「あのぉ、ソフトな仕立てにしてもらいたいんですが......」と言っても完全に無視され、強引な採寸の後に受取券というのを押しつけられた。数日後に受け取りに行くと、案の定、襟とカフスに段ボールが入っているのかと思うほどのガチガチにハードな仕立てのシャツになっていた。
それはもう「100年経っても絶対に着ない」という代物で、嫌悪感さえ覚えたので、そのまま駅のゴミ箱に捨てて帰った。くれた上司とはあまりいい関係でもなかったし、「持って帰るだけ馬鹿馬鹿しい」ってな感じである。私のサイズなので、人にあげるわけにもいかないしね。
食ってしまえば後に残らない食べ物関係ならもらいたいという人もいるが、私は近頃肉類を食わないので、ハムだのサラミだのをもらうのは困る。インスタントコーヒーもほどんど飲まないし、妙なドリップセットみたいなのがついたレギュラーコーヒーも、やたら面倒くさい。そもそもあれって、小さくパックすれば単行本一冊ぐらいのサイズに収まるのに、昔の百科事典 2冊分ぐらいの大げさな箱に入っているのもうっとうしい。
最近は香典返しとか引き出物とかで、カタログ付き商品券というのがある。一見すると選択の自由があるようにみえるが、そうした類いのカタログって、要するに中身は 「もっともらしく見えるだけの贈答品」 だから、実は欲しいモノなんてない。要するに「贈答品」の市場って、いりもしないもので成立しているようなのだ
結局のところは身も蓋もないようだが、単純な商品券というのが一番ありがたい。かさばらないから持ち帰るのが楽だし、本当に使えるモノに交換できる。しかし世の中には、自分のセンスに根拠の伴わない絶対の自信をもっている人というのがいて、 「この私の選りすぐりなんだから、謹んで受けなさい!」みたいな勢いで、気合いの入った邪魔物を押しつけてくる。
そういうのって、はっきり言って「ありがた迷惑」の極致である。
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コメント
ネクタイ締めないのに、ネクタイが10本くらいと、ゴルフウェアが5着が未使用のまま押し入れに眠っています。
リサイクル店に持っていっても多分10円でしょう。交通費もでませんね。
後、困るのはアジア旅行へ行った人からのお菓子のお土産。本当に不味い。あとで感想を求められた時に備えて食べてみますが、辛かったです。
アジアからの観光客が日本の菓子を爆買いするきもちわかりますね。
結婚式でもらったチーズフォンデュの鍋、こんなもんを選択するセンスが分からない。ただのフライパンのほうずっとましですね。金属くずとして捨てました。
贈り物の基本は”消えもの”ですが、最終的に残るのは商品券ですね。これに勝るものはない。
投稿: ハマッコー | 2016年5月26日 23:51
家を新築した時、夫の姉夫婦から、ケースに入った「フランス人形」を贈られて、仰天したことがあります。
私たちの仕事柄、身の回りの色々な物はシンプルなデザインに統一していたのを知っていたはずなのにと、
夫は怒り心頭でしたが、それなりに理由を説明し、引き取って頂きました。
人にプレゼントするって、難しいですよね。
投稿: さくら | 2016年5月27日 11:45
ハマッコー さん:
>結婚式でもらったチーズフォンデュの鍋、こんなもんを選択するセンスが分からない。
私も理解できません。資源の無駄遣いですね。
なにしろ私は英語以外のカタカナ名前の食べ物がわからないので、「フォンデュ」 というのがどんなものか、想像もつきませんが、それを作るためにしか存在しない鍋というものが、場所ふさぎにしかならないだろうというのはよくわかります。
投稿: tak | 2016年5月30日 00:09
さくら さん:
人形の類いは、本当に本当に、本当に、迷惑ですね。
暴力に近いとすら思います。
投稿: tak | 2016年5月30日 00:11