鯉のぼりの虫干しイベント
昨日の和歌ログで、「楽しさともの悲しさの入り交じる風吹く中の鯉のぼりたち」という歌を載せた(参照)。ここつくばの里では、「鯉のぼり Project in 岡堰 2016」という催しが開かれていて、小貝川の岡堰という堰のある辺りが、満艦飾の鯉のぼりで溢れているのだ。
ところがこの催しが、「楽しさともの悲しさの入り交じる」という風情なのである。何ゆえ「もの悲しさ」が入り込んでくるかというと、それは少子化と大いに関係があるからだ。私はこの催しを、「各家庭に子供がいなくなって、上げられることのなくなった鯉のぼりを押し入れの奥から引っ張り出してきて、年に一度の虫干しをするイベント」だと思っている。
ここ茨城県というところは鯉のぼりの盛んな土地柄で、私がここに移転してきた 35年前頃は多くの家に満艦飾の鯉のぼりが上げられていた。ところが当時少年だった男の子の多くは今、40歳を過ぎたが、まだ独身というケースがものすごく多いようなのだ。農家の跡継ぎには嫁のきてがないのである。
一方、次男、三男は都会に出て、まあ、結婚していることが多いらしい。しかし都会暮らしでは鯉のぼりをあげるスペースなんてないから、子供が生まれても実家から鯉のぼりをもってきて上げるわけにもいかない。つまり、この辺りの農家で昔、あんなにまで満艦飾に上げられていた鯉のぼりは、今では上げられることがなくなってしまったのである。この事情については、3年前にも詳しく書いている。(参照)
で、そんな行き場を失った鯉のぼりの、年に一度の虫干しをするのが、このイベントなのだろう。各家庭で盛んに上げているようだと、こんなところに集めて上げるイベントなんて成立しないのだが、こうでもしないと、親戚中からもらってどっさり眠っている鯉のぼりの出番がないのだ。
そんなわけで、「楽しさともの悲しさの入り交じる」イベントとなってしまっているわけだ。全国の田舎で似たようなイベントが開かれているようだが。どこも事情は同じようなものだろうと思っている。
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コメント
昨日の NHK のニュース番組では、新宿区が、使われなくなった鯉のぼりを区民から貰い受け、公園に鯉をぶら下げていたのを放送してました。コメンテータが”とても微笑ましいですね”と締めくくっていましたが、もの悲しいことだったんですね。
この時期、同様のことが全国各地で「ふるさと自慢」の意味合いで行われますが、メディアはポジティヴに取り上げますね。悲しい事実の結果として取り上げるメディアは今のところない。
投稿: ハマッコー | 2016年5月 4日 20:16
ハマッコー さん:
地元としては、観光誘致の意味もあって華々しい光景として訴求しますから、ニュース制作側としてはその意図を無視するわけにいかないんでしょうね。
でも、そうしたイベントをしている地元民は、「家ではやんなくなっちまったからなあ」 「宝の持ち腐れよりは、よかっぺ」 と、達観しているようです ^^;)
投稿: tak | 2016年5月 4日 20:22