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2016年6月 1日

「かわいい」という褒め言葉

NewSphere に "「かわいい」って言われたくない女性もいる…気をつけたい異文化コミュニケーション" というタイトルの記事がある。記事の冒頭からちょっと引用してみよう。

「かわいい」「女子力高い」「できる女」など、褒めるつもりでこのような表現を女性に対して使う人が少なくない。しかし、女性は褒められたと理解しながらも、必ずしも喜ぶとは限らない。特に外国にルーツを持つ女性は「かわいいと言われたくない」と心の中で唱えることが多い。

私はこの記事のタイトルからしてショックを受けた。この文章からは、大抵の女性は「かわいい」と言われたいが、「中には言われたくない変わった女性もいる」というニュアンスが濃厚に伝わってくる。外国にルーツをもつ女性には、この「変わった感覚」の人が多いと言いたいようだ。

私の感覚としては、「一応大人と言われる年になったら、『かわいい』なんて言われたくないだろ、フツー」と思っていたのである。ところがいくつになっても「かわいい」と言われたい女性がかなり存在するようなのだ。少なくともこの記事の筆者は、それを前提として書いているとしか思われない。

そういえば雑誌のインタビュー記事で、「いくつになっても『かわいい』と言われる存在でいたい」なんて、マジに語っているオバサンもいたぐらいである。確かにこの「かわいいと言われたい」という価値感は、女性の間で一定の力をもっているようなのだ。

「かわいい」という形容詞には、「子供っぽい」とか「あどけない」とかいうニュアンスが付きまとう。その証拠に、大人としての洗練を遂げてしまったら「かわいい」なんて言ったらかえって失礼になってしまう。てことは、この国の女性の多くは、大人として洗練をやんわりと拒否しているようなのである。

そう考えると、「かわいいおばあちゃん」なんていう言い方もある程度理解できる。老齢になっても、あまりつべこべ言わずに、いつもニコニコしながら周囲の雰囲気を損なわない「扱いやすい年寄り」になると、「かわいいおばあちゃん」と言ってもらえる。豊富な人生経験からいろいろな教訓じみたことを言うようだと、決してそうは言われない。

つまり「かわいい」と言われる女性は、いつもにこにこして、あどけない物言いに終始し、決して理屈を言わず、周囲のゆるめの雰囲気を壊さないでいる存在ということになるのだろう。このうち、「いつもにこにこ」は確かに悪いことではないと思うが、それ以外の要素が強調されると、私には「要するに頭悪いんじゃないの?」としか思われないのだよね。

とはいえ、この日本的社会では、女性は「頭悪いんじゃないの?」と思われるぐらいにかわいぶっている方が、世渡りしやすいみたいなのである。だから「女子力高い」と言われる女性は、結構ぶりっ子っぽいし、「できる女」というのも、あえて要所要所にちょっとしたぶりっ子要素を散りばめてみせるすべを心得たりしているようなのだ。

逆に「かわいいと言われたくない」なんていうそぶりを露骨に示したりすると、ちょっと生きにくくなったりするというのがあるのかもしれない。何事も「ほどほどのお付き合い」が肝心のようで、世間というのはこの辺が面倒くさいのだよね。

 

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コメント

この国の女性にとって「若い」ということは何よりも優先順位が高いようにみえますね。男性の価値観に無意識に合わせているようにもみえます。
まぁそれは個人個人の価値観の問題ですからとやかく言うのもなんですが、いい歳した(失礼)大人の女性が、若く見せるためにキンキンした甲高い声で話すのは勘弁してほしいなぁ。頭痛がしてくるんですよね。大人の女性があんな声で話すのは日本だけですよ。(手厳しいですな)

投稿: 萩原元良 | 2016年6月 4日 23:42

萩原元良 さん:

>大人の女性があんな声で話すのは日本だけですよ。(手厳しいですな)

それは言えます。頭痛くなります ^^;)

投稿: tak | 2016年6月 5日 22:11

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