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2016年6月 2日

自分は「旅好き」なのだと思う

自分は「旅好き」 なのだと思う。「旅行好き」というより 「旅好き」なのだ。「旅行」というと何となく事前に組んだスケジュール通りに動くというニュアンスがあるが、「旅」というと、行き当たりばったり、好きにあちこち行くという感覚だ。で、私としては行き当たりばったりの「旅」が好きなのである。

もちろん、本当に行き当たりばったりの旅がしょっちゅうできるというわけじゃない。それどころか現実には、スケジュールの決まった「出張」という名の旅行が大部分だ。それでも出張のスケジュールの中で、できるだけ行き当たりばったりの要素を付け加えるのが、「旅好き」の腕の見せ所となる。

まず出張の予定を立てるにあたっても、できるだけ余裕のある予定にする。用事だけ済ませてトンボ返りするしかないというような、キチキチのスケジュールにはしない。現地で仕事を済ませて一泊したら、翌日はあちこち行って、夕方に発って帰ってくればいいというようなことにする。この手で現地に馴染むことにより、仕事自体の密度も濃くなるというメリットがある。

現地の空き時間の過ごし方というのは、まさに行き当たりばったりである。事前に予定なんか立てずに、現地に入ってから決める。現地の人のオススメ情報を聞くことが多いが、1人だけでなく複数の人に聞くようにしている。1人だけに聞くのでは、薄っぺらな観光情報になりがちだが、複数の人に根掘り葉掘り聞くと、「本当に行ってみるべきところ」というのが見えてくる。

その上で、私は 1人でうろうろすることにしている。誰かと一緒だと、その人に合わせなければないが、1人だったら好きに動ける。1人旅なら、同行者に合わせて興味のない買い物に付き合う必要もなければ、気に入ったところで小一時間ぼうっとしていることもできる。

海外出張の見本市視察などでは、コストの関係でそれを目的としたパッケージ・ツアーに混じることもあるが、現地では絶対に単独行動を貫く。ただでさえ「英語ができる」というだけで同行者に頼られて、あれこれ余計なことを頼まれてしまうことがあるから、日本人同士でつるむのはできるだけ避ける。

先月末の北海道への出張では、釧路から根室まで約 120km の道をレンタカーで行った。現地の人に聞くと「2時間の道のりですが、途中は何にもないところですから、ただシカにぶつからないようにして、退屈に耐えてください」という話だったが、退屈どころかとても楽しいドライブだった。あちこちでクルマを停めて、ちょっとした散歩を楽しんだおかげで、2時間のはずが 3時間以上かかった。

それを見越して早めに出発していたので、遅刻することはなかったし、帰りもまたあちこち寄り道した。道東の自然は、内地に比べて「剥き出し感」がハンパじゃないからワクワクする。できれば数年前の知床のようにエゾシカに遭遇したかったが、今回は多くの野鳥を見るだけで済んだのが、ちょっと残念といえば残念だった。

ちなみにこれだけあちこちで寄り道を繰り返していると、「お馴染みの光景」という感覚が醸成されてくる。いわゆる「デジャヴ」(既視感)というのとはちょっと違って、何というか、どこに行っても戸惑うことがなく、何となく親しみさえ感じて、ずんずん入って行けてしまうのだ。

おかげで私は、世界中で現地の人と思われて道を尋ねられることが多い。

 

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コメント

行き当たりばつ旅、最高ですね。私も、二月からありんこのように働いたので、今月は一二週間ぶらぶらしたひです。
なあに、金がなくなればまた働くだけですから。貧乏ふりいらんすは気楽な稼業ときたもんだ、あホレ(おいおい)

投稿: はぎ原みづね | 2016年6月 3日 00:31

先日は、”谷根千”へ午後から一人旅に出かけました。
何処に行くにも全て私の自由で、誰にも相談しなくてもいいのがなにより。タバコのみと一緒に行こうものなら、電車降りて一服、ちょっと歩いて一服と無駄な時間を取られるがそれもない。

出発前から決めていたすし屋で遅い昼食を取ろうとしたら、4時半からの営業なので90分も時間が余ってしまった。
そこで、すし屋の前を見ると銭湯がある、で、ひと風呂浴びてから寿司を頂いた。

そのあとは東銀座に行き、歌舞伎座の演目を眺めていたら係りの人が”今からなら一幕千円で見られますよ”と言うので早速入ってみることにした。初歌舞伎です。「時今也桔梗旗揚」とう演目で、予備知識なしで観劇したので、楽しむには程遠いものでした。しかし高度な文化であることは実感できたので、次は事前に学習して行ってみるつもりです。

一人ぶらぶら旅もなかなかいいものです。

投稿: ハマッコー | 2016年6月 3日 02:20

はぎ原みづね さん:

宮仕えでは、びっしりスケジュールが組んである旅行になりがちです。とくにツアーに組み込まれてしまうと、旅行会社がリベートもらってるお土産屋で 1時間も足止めされるのはたまりません。

そのへん、フリーランスは気楽でいいですね。

投稿: tak | 2016年6月 3日 10:55

ハマッコー さん:

初歌舞伎が 『馬盥』とは、またものすごく地味〜で暗〜いのを見ちゃいましたね。その前の幕の 『三人吉三』 だったら、まだずっと気楽に楽しめたと思いますが。

でも、これを機に、歌舞伎に親しんでみて下さい。

投稿: tak | 2016年6月 3日 10:59

『馬盥』はやはり地味で暗かったんですね。なにせ、舞台の上には22人がいるのに体を動かしているのは3人だけ。音もほとんど太鼓だけだったように思います。

歌舞伎ってもっと見るだけでも楽しめるんじゃなかったのかと思いながら、一時間二十分過ごしました。
隣にいたフランス人ぽい女性は途中で帰っちゃいました。

他の演目で再挑戦します。

投稿: ハマッコー | 2016年6月 3日 13:16

ハマッコー さん:

歌舞伎入門としては、『助六』 や 『鳴神』 などの十八番物をオススメします。大らかに楽しめます。

あるいは、黙阿弥の世話物もわかり安いです。『三人吉三』 とか 『切られ与三』 とか。

投稿: tak | 2016年6月 4日 02:15

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