米国大統領選挙について書く
他に適当なネタもなく、仕方ないから米国大統領選挙について書く。このブログでは久しぶりの、まともに大きなテーマだ。
私は昨年 7月に「生き返ったヒラリー・クリントン」という記事で、それまで「単にスマートなだけ」とか 「賞味期限切れ」などと散々辛辣に書いていたヒラリーをちょっと見直して、米国初の女性大統領が誕生するのを期待していいかも、なんて書いた。
しかし半年経って思い直し、今年の 2月に「ヒラリーの悪いクセ」という記事を書いている。彼女はバーニー・サンダースとの指名候補争い中で、「誰が大統領になる準備ができているだろうか?」なんてことを口走った。「自分こそ大統領になるにふさわしい実績も見識も兼ね備えている」と言いたかったのだろうが、そんなことばかり言うから、彼女は嫌われ者なのだ。
米国民の多くは、既存の政治に嫌気がさしているのである。だからこそ、無茶苦茶なドナルド・トランプとか「民主社会主義者」を自認するサンダースとか、これまでだったら考えられなかったユニークな人物に、あれほどの支持が集まっている。
彼女は去年、せっかく「公平な経済」というテーゼを掲げ、「富める者がより富めば、低中所得者層にも富がしたたり落ちる」という新保守的な考えが誤りだったことを認めた。そのまま富の公正な配分が重要と指摘し続けていれば、「既存エスタブリッシュメントの代表」「ウォール街の回し者」的イメージを払拭できたはずなのだ。
それなのに、党内の指名争いでサンダースとの差別化に迫られて、古い価値感の中でしか意味をなさない「これまでの実績」なんてものを強調するという愚を犯した。これで彼女は完全に「既存政治の流れの中の人」に戻ってしまったのである。ということはやっぱり、私がずっと言ってきたように「賞味期限切れ」なのだよね。党内でサンダースに競り勝っても、本選ではトランプのハチャメチャに勝てない。
勘のいいヒラリーは「どのように振る舞えばスマート(当然ながら「スリム」っていう意味じゃないよ)に見えるか」をよく知っているが、結局のところ、本当の意味での洞察力がない。想定通りの受け答えは見事にこなすが、芸術的なアドリブは効かない。それで脳内メモリーが一杯になると、突然失神しちゃったりする。頭がフリーズしちゃうんだろうね。
サンダース支持者のかなりの部分は、本選でトランプ支持に回るだろう。ヒラリーが勝つには、共和党内主流派の「反トランプ票」に期待するしかなくなっていると思う。ただ彼らの多くは、ヒラリーなんかを支持するのを潔しとせず、棄権に回るだろうが。
結局、今回の大統領選を民主党と共和党の争いと見ていては、何も理解できないということだ。これは両方の党内と支持者の中に存在する、エスタブリッシュメントと非エスタブリッシュメントの争いなのだ。私はこれまで、二大政党制が政党政治の理想の姿と思ってきたが、もはやその考えは古びてしまったと認めなければならない。
民主主義は新たな混迷の時代に入っている。世界の混迷は経済格差で生じているが、国内の混迷も同様に格差で生じる。
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