「生花」と書いて「せいか」と読むか「なまばな」と読むか
今日は「生花」と書いて何と読むかというお話である。
手持ちの辞書(iPhone アプリの『大辞林』)で「生花」を引くと、「しょうか」「せいか」「なまばな」 の 3つの項目が出てくる。このほかに「生け花」を「生花」と表記する場合もあるから、4つの読み方があるとみていいだろう。「いけばな」以外の項目は、次のように説明されている。
しょうか 【生花】: 「生け花」 のこと。明治以降の用語。せいか
せいか 【生花】: ① いけばな ② 自然の生きた花
なまばな 【生花】: 生け花で、枯れていない、水があがる花材。せいか
「しょうか」は「生け花」のことで、 「せいか」には「いけばな」という意味もあり、「なまばな」には「せいか」という意味もあるというのだから、実際の場面では厳密な区別なんてつけられない。曰く言いがたいところである。
とはいえ最近の葬式などでは「生花」のことを「せいか」と言うのが一般的なようで、葬儀屋と提携した花屋さんが一律 5万円ぐらいで注文を受けて届けてくれる。だから参列者は金を出すだけで他の手間はかからない。
もっとも、私が高校まで暮らしていた山形県の酒田辺りでは、葬式で飾る花のことを「なまばな」と呼んでいたと思う。当時は自宅での葬式が普通のことで、「なまばな」も親戚の生け花の得意なオバサンなんかが花屋で買ってきた花をちゃちゃっと生けてくれていたような気がする。
ところが最近では田舎でも「せいか」と呼んでいる。今は葬儀屋が献花者の名前入りで祭壇の両脇にずらりと並べてくれるので、「せいか」という呼び名が相応しい。楽と言えば楽だが、どれもみな同じようなものになってしまった。
というわけで、私の個人的印象でいうと、「なまばな」は親戚のオバサンがちゃちゃっと生けてくれるもので、「せいか」は 5万円出して調達するものということになっているのである。で、最近の小さめの辞書では「なまばな」という項目のないのがあるようで、それだけ葬儀屋が全て取り仕切る世の中になったということかもしれない。
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