メガソーラー・バブルの崩壊は、当然の結果
日本経済新聞が 「太陽光パネルの国内業界が底なし不況の様相を呈している」と伝えている (参照)。2016年 4~6月期の国内出荷量が前年同期比で 26%減少しており、15年度に前年実績を割り込んでから、復調の兆しが見えないのだそうだ。
出荷量減少の要因は産業用(メガソーラー向けなど)の減少という。産業用は全体の 8割を占めているというから、家庭用がいくら健闘しても全体の出荷量が減ってしまうのは無理もない。
産業用ソーラーパネルの出荷が減ったのは、発電した電力の買い取り価格が下がってしまったからにほかならない。2012年には 1kwh 当たり 40円で買い取られていたのが、16年には 24円に引き下げられた。これでは新規のメガソーラーに投資しても「金儲け」にはならない。
一時はメガソーラーはバブルの様相を呈していて、とにかく申請しておいて、その権利を転売して儲けるなんてことまで横行していた。本当に「環境のため」を意識して作る場合は、なるべく木を切らずに済む土地を探して作るのだが、儲け主義の連中は林を伐採して丸裸にしたところにソーラーパネルを並べるなんてことを平気でやる。
私は太陽光発電に関しては、各家庭やオフィスで屋根や庭に設置し、「自分のところの電気は自分で作る」というのが望ましい姿で、メガソーラーに関しては 「やりたければどうぞ」 ぐらいに思っている。しかし昨年 9月 11日の記事で書いたように、本来山林だったところなどの自然を破壊してまで作るのは、「そりゃ本末転倒だろう」と考えている。
太陽光発電推進派の私としても、昨今のメガソーラー・バブルの崩壊は「当然の結果」と認識している。これで需要が落ち着けば、ソーラーパネルの価格も下がって、家庭での設置がしやすくなるかもしれない。
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コメント
おっしゃる通りなんだけど、こういうコモディティ的な工業製品は量産による固定費の回収や競争による技術的なイノベーションが重要なので、生産量が増えないと価格が下がらないというジレンマがあります。
それでも、太陽光発電はグリッドに電気を供給する集中的な電源としてよりも、発電所から遠い所での自給自足的な分散型電源として使った方が効率良さそうですよね。
投稿: きっしー | 2016年9月 6日 19:19
仕事場の近所にある「ソーラー電畑」で、配線を盗まれる事案があり、ケーサツ屋さんも来て大騒ぎ(その場所だけ)でした。
その後、夜間監視員が来たり、セキュリティーの会社が出入りする様になったり、それなりに対策も練られていた様です。
少なくとも、設置業者にとって思ったより銭がかかる展開となっていると言うことも、後退の要因となっているかもしれませんね。
正直、山削ってまでソーラーすんなよ。
投稿: 乙痴庵 | 2016年9月 6日 22:13
きっしー さん:
生産が増えないと価格もこなれないというのは、確かに言えますね。ただ、これまではちょっと 「売り手市場」 すぎた気がしています。メーカー側としては生産設備も導入した手前、ある程度の生産量は確保し続けたいところでしょう。
結果がどう出るかはわかりませんので、推移を注視したいところです。
>太陽光発電はグリッドに電気を供給する集中的な電源としてよりも、発電所から遠い所での自給自足的な分散型電源として使った方が効率良さそうですよね。
賛成です。
将来的に日本国内で古くなったパネルは、まったく壊れて使い物にならないくなったわけではないですから、廃棄処分なんかせずに、電力供給の不安定な途上国にタダ同然でもいいから輸出すればいいと思っています。
そうすれば、向こうも助かるでしょう。
投稿: tak | 2016年9月 7日 21:39
乙痴庵 さん:
そんなケースまでありますか。そりゃ、思わぬ出費ですよね (^o^)
投稿: tak | 2016年9月 7日 21:45