「盛り土(もりど)」という土木建設用語を巡る冒険
豊洲市場に関しては、元から「どうしてそんな環境問題のあるところに魚市場なんか造るの?」とずっと思ってきたが、その素朴な疑問がようやく政治の舞台に乗った。「遅すぎるよ」と言いたいが、スルーして既成事実化された頃に問題が顕在化するよりは、まだいい。ただ、私が今回ちょっとだけ言ってみたいのは、そんな大きな問題じゃなく、「盛り土(もりど)」という言葉についてだ。
ニュースで 「盛り土」 という重箱読みを聞く度に、「おいおい、『もりど』って何だよ? 『もりつち』じゃダメなの?」 と言いたくなっていた。改めて Wikipedia で調べてみると、「盛土(もりど、もりつち)」とあって (参照)、本来どっちの読みでもいいみたいなのだが、どうやら土木建築用語としては、「もりど」 というのが慣わしらしい。
盛土 (もりど、もりつち) とは、低い地盤や斜面に土砂を盛り上げて高くし、平坦な地表を作る、または周囲より高くする工事。またはそれが施された道路や鉄道の区間。またその工事によって盛られた土砂そのもののことも指す。
関連の用語に 「切り土(きりど)」というのがあって、これは斜面で土を削り取って平らな面を造ることを言うようだ。そして斜面に階段状の平地を造る際には、切り土と盛り土を組み合わせることが多いらしい。上の方から削り取った土砂を低い方に盛って、平らな面を造るのだ。なるほどね。身近でも案外よく見られることだ。
豊洲市場の場合は、汚染された土壌を覆うためでもあり、さらに基本的に元々平地だから、上から削り取った土砂で盛り土をするわけにもいかないようで、土砂を他から運んでくるのにも膨大なコストが計上されてしまうという事情があったのだろう。だからといって、コンクリートの箱で代用しちゃえというのも、乱暴な考えだ。さらにそんなことで代用して、それを公表しなかったというのもあざとすぎる。
石原さんが都知事時代に、ちょっと聞きかじったことを大いばりで「これも検討したらどうだ」なんて言っちゃったのが、今回のごまかしの発端だという説まで浮上してきて、もうごっちゃごちゃの様相である。石原さん、都知事を辞めてから晩節を汚すことになりそうだ。
まったくもって、こうした話は官僚に任せっぱなしにするとどんなことになるか、危なくてしょうがないところがあるが、そこへもってきて、ワンマン都知事が単なる聞きかじりで訳知りみたいなことを言うから、ますますおかしなことになったのかもしれない。まったく困ったモノである。
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コメント
湯桶読みの類になるんですかね>盛り土
そういえば原発関連で「建屋」の「たてや」という読みにもちょっと違和感を抱いたのを思い出します。でも考えてみればこれは自然なのかな……。
投稿: 山辺響 | 2016年9月20日 18:33
山辺響 さん:
「建屋」 に比べると 「盛り土」の不自然さは際立ちますね
ところが、ATOK では 「盛り土」は一発で出てきますが、「建屋」はなかなか出てきませんでした。世の中、わからんものです。
投稿: tak | 2016年9月20日 18:38