ウナギを食うのは早めに諦める方がいい
ヨハネスブルクで開催中のワシントン条約締約国会議で、ウナギ保護の決議案が採択されたことにより、日本の業界では「3年後には、ウナギがまともに食べられなくなる可能性がある」と危機感が高まっているらしい。
この問題に関して私は、今年 3月末にも「ワシントン条約によるウナギの輸出入規制に、私は賛成」と書いている。この段階での日本のマスコミの基調は、「このままでは日本人が大好きなウナギの蒲焼きが食べられなくなるおそれがある」という、甚だ情緒的なものだった。「独特の食文化が損なわれる」というような書き方でしかなかったのである。
こうした風潮に対して私は、ちょっとした憤りを感じていた。「そんなにまで絶滅危惧種を食いたいのか?」と問い詰めたいような気分だったのである。私は 3年前に「当面、ウナギとマグロは食わないことにする」と書いた。まあ、会食などで出てきてしまったら、捨てるのももったいないから仕方なく食うが、自分で選択してまで食うのは止めようと思ったのだ。
というわけで、あれ以来「絶滅危惧種を好んで食う」という夢見の悪い気分からは個人的には解放されているが、種の絶滅の危険性は全体的にはさらに高まっているわけだ。個人的に「ウナギとマグロは食わない」と決意するだけでは、全然足りない。
今年も土用丑の日の新聞チラシは、ウナギの蒲焼きの宣伝であふれかえった。私としては、「安いのは中国で抗生物質と成長促進剤まみれで養殖された訳のわからないものだし、国産の高いヤツを食うのも馬鹿馬鹿しい」としか思えなかったが、日本国民はこぞってウナギを食いまくったのである。
そろそろ日本人も、「ワシントン条約のせいでウナギが食えなくなってしまう」などという、根拠のない被害者意識で捉えることを止めなければならない。本当のところは、日本人がウナギを食い過ぎるからワシントン条約で規制しなければならないところまできてしまったのである。ウナギの視点からは、日本人は加害者なのだ。
そんなことを言うと、「お前は町の鰻屋さんの生活を脅かすのか」などと言われることまである。しかし私としては「どうせ衰退業種なのだから、鰻屋さんたちは早めに将来を考えておく方がいい」と警鐘を鳴らすのは、むしろ親切なことだとすら思っている。
いずれにしてもウナギを食いまくる食文化には、未来はないのだ。貴重な文化財扱いぐらいにしておいて、庶民としてはさっさと諦めようじゃないか。
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コメント
ウナギもクジラも美味しいですからな…
残念な気持ちはわかります
(´・ω・`)
投稿: ひろゆき王子 | 2016年9月29日 21:18
ひろゆき王子 さん:
まあ、食わなくても死にはしませんから、遠慮しときましょう。
投稿: tak | 2016年9月29日 21:36