新幹線車内の電源コンセント
北陸への出張を終え、台風の大きな影響を蒙ることも亡く、無事に帰宅した。つくばエクスプレスの守谷駅まで、往復共に雨に降られず自転車で往復できたのは、晴れ男の面目躍如である。出張先でもずっと雨模様ではあったが、必要な時にはちゃんと雨が止んでくれた。「晴れ男になる心がけ」 の賜物だと思っている。
さて、北陸新幹線の「かがやき」には初めて乗ったことになり、行きは「築地市場の恥部」で書いたような不愉快な状況だったので、つい気付かないまま下車してしまったのだが、帰りの車内で画期的なことに気付いた。北陸新幹線の車内では、すべての座席に電源が付いているのである。
多くの人は既にご存じだと思うが、東海道新幹線の「のぞみ」に使用されている N700 系の車両では、車両の最前部と最後部の座席と、全ての窓際の座席で電源が使用可能となっている。出張先で行き先までのナビに使ったり、いろいろな情報を見たりするのに、スマホはかなり使いっぱなしになるので、この電源から充電できるのはかなりありがたい。
ただ、電源の利用できる席が限られているので、指定券を購入する時には窓際が満席の場合は次の便まで待ったりすることもあり、ちょっとした不満も残されていた。
今回の出張では、往きは窓際の座席が予約できたので、いつものように壁の足元のコンセントからスマホの充電をしていた。ところが帰りは満席に近い状態だったので、3列並びの真ん中しか取れなかった。
そんなわけで充電は諦めて、手持ちのモバイル・バッテリーを使おうと思っていたのだが、ふと気付くと、前の座席の背後の足元のあたりに、電源コンセントがあるではないか。これはありがたい。東海道新幹線など、ほかの路線や、フツーの特急列車などでも是非お願いしたいサービスだ。
ところがちょっと調べてみると、そこには技術的制約があるらしい。東洋経済の「なぜ北陸新幹線は全席コンセント付きなのか」という記事によると、北陸新幹線は最高速度が 260km/h と抑えられているため、車内設備などに力を入れた設計ができたというのである。ちょっと引用してみよう。
「E5 系の場合は高速運転を行うため、電気容量的に全座席コンセントの実現が難しかった」と、同設計課の大橋良和課長は言う。つまり、E7/W7系 は E5系 ほど高速運転をしないので、すべての座席にコンセントを付けるだけの電気容量の余裕があったというわけだ。
ここでいう「E5 系」というのは、東北新幹線に使われている、あのロングノーズの車両で、「E7/W7系」 というのは北陸新幹線の車両だ。名前が 「E7/W7」 と 2つあるのは、JR 東日本と西日本の保有する車両という違いだけで、中身は同じらしい。
ただ東北新幹線は確かに時速 300km/h で運行する区間があり、電源的な制約があるのだろうが、東海道新幹線は 285km/h が最高とされている。素人の私としては、「これなら、東海道新幹線ではイケるんじゃないの?」 と思ってしまうのだよね。実際にはどんなにコンセントを増やしても全てが利用されるというわけじゃないし。上越新幹線ならさらに大丈夫だろう。
新幹線の座席でヘアドライヤーなんか使われたら、そりゃたまらないだろうが (そもそも迷惑だし)、スマホの充電ぐらいなら便利にさせていただきたいものである。
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コメント
「E5 系の場合は高速運転を行うため、電気容量的に全座席コンセントの実現が難しかった」
この説明は大嘘です。
私のノートパソコンは消費電力が45wです。電流は100vで0.45Aです。
E5系は721席で、仮に全席でノートパソコンを使用したとしても電流は 0.45*721≒325Aです。
全席でノートパソコンを使うなんてあり得ません。アウトレットから電力を取る人は多分10%未満でしょう。
さらに多くが低消費電力のタブレットかスマホでしょう。そう考えると実際に流れる電流は「15A」程度と推定されます。
つまり、家庭で使う電磁調理器一台分にも満たない。
アウトレットで使う電気容量なんて微々たるものです。
新幹線一編成で使う電力量からすれば完全に無視できる数値です。
要するにコストです。アウトレットを窓際に設置するのは比較的安くすみます。(一直線にならんでいるので)
それに対して座席の下にアウトレットを設置するには工数が増えるからやらなかったのだと思います。
設計課の課長さん、本気で北陸新幹線は270km/hだから実現できたと言ってるとは思えない。
投稿: ハマッコー | 2016年9月20日 05:06
ハマッコー さん:
なるほど。冷静に計算してみればわかりますね。確かに物理的な制約ではなく、JR 側がコスト軽減するためのもっともらしい言い訳でしかないですね。
東北新幹線の電源の余裕が電磁調理器 1台分ぐらいしかないというのなら、そもそもコワくて乗ってられません。
投稿: tak | 2016年9月20日 14:50
どうでしょうかねぇ。
一般的なコンセントを装備してしまうと、常識的に一か所あたり 15Aまで使われることを見積もらないといけないでしょう。 ヘアドライヤーの使用は音的に 勇気がいりますが、電気ポットあたりならそれこそ よっぽど注意書きにしっかり書いても 使われることを覚悟しなくちゃならないでしょう。
そうすると、結局全コンセントに ブレーカーを装備して、これは45Wまでしか使えませんよって注意書きしたうえで、さらに 「なんでPCはOKで、電気ポットはダメなんだ」なんて訳のわからないことを言ってくる人の相手をするなんて考えると、低電流専用コンセントの設置って勇気がいりそうですよ。
いっそ USB端子5V給電のほうが敷居が低いかも。(こちらは 異物をつっこみたがるお子様との闘いか)
投稿: Sam.Y | 2016年9月20日 20:42
Sam.Y さん:
>電気ポットあたりならそれこそ よっぽど注意書きにしっかり書いても 使われることを覚悟しなくちゃならないでしょう。
それは現状でも、コンセントが存在する限り同じことが言えるわけですが、実際にはそんな人はいませんね。新幹線の座席でカップラーメンのお湯を沸かすなんて、考えにくいです。
まあ、全席にコンセントがあると、そのネグレジブルな可能性が約 2.5倍にはなるわけですが。
>いっそ USB端子5V給電のほうが敷居が低いかも。
これだと、「なんでスマホやタブレットはよくて、PC はいけないんだ」 というクレームが付きそうで、「なんで電気ポットがいけないんだ」というクレームよりもずっと現実性が高いと思いますよ。
投稿: tak | 2016年9月21日 06:49
これ、走行用モーターと電気容量がかち合うって意味じゃなく、サービス用補助電源の容量の話だと思いますよ。
今の日本の新幹線は、高速走行の鍵はブレーキ性能とか騒音対策とかなので、軽量化が至上命題なわけです。E5系は初めての300キロ超えの車両なので、積み込む機器の重量制限は相当に厳しいはず。床下のスペースもキツキツですし、それらの条件の中で、どれだけ容量の大きな電源を積めるか、って話じゃないですかね。
じゃあ、東海道新幹線が何故ダメなのかというと、うーん、、、なんでだろう?
あそこも「エコ出張」とかいって、軽量化に躍起になってましたから、地球のことを考えた^^、ということにでもしておきましょうか。
以前、窓側に座ってたら、私を乗り越えてケーブルを伸ばして充電をしようとするオヤジに遭遇し、大層驚きました。まぁ、昔は、窓際のセンヌキやら灰皿を皆でシェアしてましたから、別におかしくはないのですがね。
投稿: 禅堂 | 2016年9月21日 06:53
禅堂 さん:
ふうむ、サービス用電源(補助電源)は別系統なわけですね。
とすれば、東洋経済の記事の「E5系の場合は高速運転を行うため、電気容量的に全座席コンセントの実現が難しかった」という設計課の大橋良和課長の説明は、甚だテキトーで不正確ということになりますね。「もっともらしいこと言っとけばいいや」みたいな。
まあ、そのうち補助電源装置も小型化・軽量化されるでしょうから、東北新幹線でもいけるかもしれないと、期待しましょう。その頃には、東海道新幹線も当然いけるでしょう。
投稿: tak | 2016年9月21日 13:51
東洋経済の記事では:
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この疑問に対しては、「E5系の場合は高速運転を行うため、電気容量的に全座席コンセントの実現が難しかった」と、同設計課の大橋良和課長は言う。つまり、E7/W7系はE5系ほど高速運転をしないので、すべての座席にコンセントを付けるだけの電気容量の余裕があったというわけだ。ここでも、高速運転の代わりに別の満足が得られている。
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このように書かれているわけですから、100vでの電源供給系統に余裕がなかったとは言ってませんね。300km/h走行なので電気容量に余裕がなかったと説明しています。
私が問題にしたのは、「もっともらしいこと言っとけばいいや」という設計課長のテキトーな説明と、それに一切の疑問を持たずに”納得した記事”にしてしまった東洋経済の記者のリテラシーです。
高校レヴェルの電気物理を理解してれば”納得した記事”は書かない。
投稿: ハマッコー | 2016年9月21日 20:34
ハマッコー さん:
>私が問題にしたのは、「もっともらしいこと言っとけばいいや」という設計課長のテキトーな説明と、それに一切の疑問を持たずに”納得した記事”にしてしまった東洋経済の記者のリテラシーです。
全面的に同意です。
投稿: tak | 2016年9月21日 21:09
この記事のアヤシげな点は、21日の記事でのコメントなどから推測するに、大橋課長さんがいい加減なことを言ったというよりは、記者のリテラシー不足のために、不適当に端折って書いてしまったという疑いの方が強まりました。
大橋課長さんの名誉回復のために、一応書かせていただきます。
投稿: tak | 2016年9月22日 09:24