最近、久しぶりでホーナ—のブルースハープを 1本買った。ホーナ—(Hohner)というのはハーモニカやアコーディオンの分野で名を知られたドイツの楽器メーカー。そしてブルースハープというのは、10穴で 3オクターブを出せる。

どうしてたった 10穴で 3オクターブも出せるのかというと、例えば 1番左側の穴は吹けば「ド」、吸えば 「レ」 の音が出る。それで 10の 2倍で 20の音が出せるのだが、ここまで書いて、「ありゃ、2つ足りないじゃん!」と気付いた。「ド」から「シ」まで 7音だから、3オクターブなら 21 プラス 1 で、22の音がなければならない。
ブルースハープを吹いて半世紀近くになるのに、初めて気付いたというのもおかしいが、改めてトライしてみると、高い方の「シ」、つまり一番高い「ド」の 1つ下の音がない。そしてこれはよく知られたことだが、低い方の「ファ」と「ラ」もなく、そのかわりに吹いても吸っても「ソ」の音が出る。図にしてみるとこんな感じだ。

この配列のおかげで、低い方の 3つの穴を同時に吹くと 「ド、ミ、ソ」 のトニック・コード(C)になり、2番目から 4つの穴を同時に吸うと「ソ、シ、レ、ファ」のドミナント・セブンス・コード(G7)の音が出る。で、ブルース・ハープの奏法における 「セカンド・ポジション」(C のハーモニカを使って G の曲を演奏する)では、ブルース特有のセブンス・コードの音が出るというわけだ。
さらに、低い方の音では、吸う時にちょっと息を加減すると半音や全音は下げられるので、「シ」の音を半音下げてブルース特有の音階にしたり、さらに全音下げて「ラ」の音を出したりすることもできる。テクニックで、音を作っちゃうのだ。
それで、いわゆる「ファースト・ポジション」(C のハーモニカで、素直に C の曲を演奏するポジション)では、文部省唱歌なんかをきれいに演奏し、「セカンド・ポジション」ではブルースを吹く(というより、この場合は「吸う」んだけどね)ことができる。同じ楽器と思われないほど、まったくムードの違った演奏ができるのだ。
ああ、いやいや、今日はこんなブルースハープ講座なんかを書こうと思ったわけじゃない。言いたかったのは、ホーナ—のブルースハープが知らないうちにやたら値上がりしていて、1本 4,600円もしちゃってたということなのだ。
私がブルースハープを演奏し始めた 45年前頃は、1本 1,000円もしなかったように記憶している。それが徐々に値上がりして、15年前ぐらいは 2,500円ぐらいしちゃってたかもしれない。それが近頃は、いきなり 4,600円である。
同じ商品の値段がバブル期の 2倍になっちゃったなんて、他には思い当たらない。一体どうなってるんだ? 手軽に買える「簡易楽器」だからこそ、ブルースにもよく用いられると思っていたのだが、そんな意識が吹っ飛んでしまった。
ブルースにハーモニカを使おうとすると、なにしろキーが決まった楽器だから、キーの数だけ揃えなければならない。普通、ブルースマンは A, C, D, E, G の 5つのキーを使うから、ハーモニカは D, F, G, A, C の 5本揃える必要がある。ということは、今の値段で 5本揃えたら、23,000円もかかってしまう。昔は 1万円しなかったのに。
私は写真で示したように 5本持っていて、そのうちの 1本(F キー)がおシャカになって最近買ったので驚いてしまったというわけだ。いきなり 5本揃えようと思ったら、ちょっとした出費である。高校生なんか、大変だろうなあ。徐々に揃えていくしかないだろう。
日本のトンボ楽器の "Major Boy" というシリーズは、Amazon で 1本 2,400円で買えるようだ(参照)が、やっぱりホーナーの方が音に深みがあるんだよなあ。でもまあ、口の中の形を調節することで、そのあたりはなんとかなるから、次に買うのはトンボかもしれない。
ちなみに、写真で一番上に置いてある「クロマチック・ハーモニカ」というのは、右のレバーで半音上の音が出せる仕組みで、ジャズ・ハーモニカなどに使う。これだって、40年前ぐらいに買った時は、3,000円しなかったと思う。これをジャズっぽくフェイクも効かせて演奏しようと思ったら結構難しくて、未だにまともにこなせない。
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