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2016年10月28日

津波の時は、勝手に高いところに逃げろ

宮城県石巻市の大川小学校での津波被害を巡る訴訟で、仙台地裁段階では遺族側が勝訴し、これを受けて石巻市は控訴する旨が伝えられている。いずれにしても 84人の犠牲者の命は帰らないのだが。(写真は 2011年 5月に私が仙台市の被災地で撮影したもの)

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裁判では、大川小学校まで津波が襲うことを予見できたのかどうかが焦点となり、仙台地裁では「市の広報車が巡回して避難を呼びかけたのだから、予見できた」との判断で、原告勝訴となった。ただ、大川小学校のあったところまでは過去に一度も津波が届いたことがなかったこともあり、判断が遅れたもののようだ。

大変痛ましい事件ではあったが、このニュースが伝えられた当初から私は、「自分だったら勝手に逃げ出して助かったかもしれない」という思いを抱いていた。

私は小学校時代、「いつも勝手な行動をとる問題児童」だった。何しろ団体行動に縛られるのが嫌いだったのである。だからもし自分があの時、大川小学校にいたら勝手に逃げ出して裏山に登り、助かっていたかもしれない。

そもそも私は小学校時代、教師を信用していなかった。いつも適当なことしか言わないし、ちょっと難しいことを聞けば誤った答えをするし、子どもでも知っていることを知らないし、「この人たちを全面的に信用していたら、ろくなことにならない」と思っていた。

その上、私は自然災害に関しては臆病なところがある。大地震や台風などにはかなり弱い。だから大地震があって、市の広報車が「津波が来る」と警戒を呼びかけているような状況で、校庭にいつまでも待機させられるなんていう状況には耐えきれなかったと思う。きっと勝手に逃げ出していただろう。

そうでなくても、三陸辺りでは「津波てんでんこ」と言って、津波が来るという情報があったら、とにかく我先に高いところに逃げろと言われている。津波が来たら、親を見捨てて逃げても責められることはないというぐらいだ。

大川小学校の児童たちは、いい子すぎたのかもしれない。てんでに裏山に逃げていてくれたら、助かったのに。

【2023年 11月 6日 追記】

大川小学校での津波被害を巡る訴訟は、2019年 10月に遺族側の勝訴が確定している(参照)。要するに児童をより安全なところに避難させることもせず、グランドに集合させたままだったという学校側の認識の甘さによって多くの死者が出てしまったということだ。

 

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コメント

先生の言うことをきいたばかりに津波に飲まれたなんて、悲しすぎますね。
それにしても、小学生にしてすでに教師を見限っていたtakさんはすごい。
私も一人の先生を除いて、教師にはいい思い出がありません。その一人とは小学校時代のU先生で、当時絵ばかり描いていた私に「お前は何の授業中でも絵を描いてていいぞ」と仰った優しい先生です(おいおい)。

投稿: 萩原水音 | 2016年10月29日 09:02

私も津波が来ていたら助かっていた生徒だったかもしれない。何しろ通信簿は毎回 ”協調性がない” でしたから。
皆がドッジボールをしている時に他の遊びを一人でしていただけという理由で。

”先生、体積を表すのに何で「cc」と付けるんですか?”
と聞いたら、一瞬詰まって ”昔からそういうのよ” が答えでした。

円の面積を求める公式「π*r*r」を証明するのに、1cm毎に縦横に線が引かれた黒板に直径100cmの円を描き、円の中に1cm角の正方形が何個あるか数えて見せて、”だからこの公式は正しいのよ” っていう無茶苦茶な授業を展開していました。

私は”バカか”と思っていました。また、授業で答えられない質問をよくしていたので徹底的に嫌われていました。
こんな教師に5年生と6年生の二年間も付き合わされたので相当なストレスが溜まりました。今でも最悪の教師だったという気持ちに変わりありません。

話が逸れて失礼しました。

投稿: ハマッコー | 2016年10月29日 20:59

萩原水音 さん:

それは素晴らしい先生に巡り会いましたね。
確率としてはものすごくレアなことでしょうから、大変な幸運というものです。

投稿: tak | 2016年10月30日 00:58

ハマッコー さん:

そうなんですよね。自分の好きなことをすることは、そのまま「協調性の欠如」 と見られるんですよね。学校という所は。

ですから、気にくわないことでも、そのまま死んでしまうようなことでも、諾々と受け入れてしまう人間ばかり育ってしまうことになるんです。

投稿: tak | 2016年10月30日 01:01

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