視察報告書なんて、元々コピーばかり
毎日新聞が、千葉県議会の海外視察団メンバーの報告書で、全員が同じ文面のコピーで済ませていたと報じている(参照)。台湾視察した県議は、「報告をまとめるのが得意な議員に手を挙げて書いてもらう。下手な文章で提出してもしょうがない。自分で書きたがる議員はアピールしたいだけだ」と話したという。
実を言えば、こうした団体での視察旅行の報告書なんて、千葉県議会に限らずコピーばっかりである。今さらのように問題にするのが気恥ずかしいぐらいだ。私の報告書なんか、何十回コピーされたか数え切れないぐらいであある。
私は若い頃、いろいろな公的会議に参加させられたり、業界のビジネス視察旅行なんかに同行させられていた。それで当然のごとく報告書を書くのだが、その報告書がいつの間にかそこに参加していた他のメンバーの報告書にバンバンコピーされているのである。業界紙記者時代には、自分の書いた記事がそのまま他人の報告書になっていたことも全然珍しくなかった。
「俺の書いた記事を自分の報告書にしちゃったんなら、少しはお礼の気持ちをもってこい」なんて思っていたものだが、そんなことは一度もなかった。ライターという商売をしていると、大昔に書いてとっくに忘れていたようなものでも、自分で書いた文章というのはすぐにわかる。
新聞に載った文章ではない報告書がコピーされていた件に関しては、受理した事務局が私に無断で他人にコピーさせているのかと思っていた。しかし千葉県議会の場合は、事務局が勝手にコピーして、皆の「報告書」を作ってあげるという「余計なお世話」を、10年以上(実際は多分 30年以上)続けていたという。もしかしたら、こっちのケースの方が多いのかも知れない。
ちなみにコピーがいけないからといって、県議や市議が自分で書いたら書いたで、とてつもなくド下手な文章ばかりになる。どうでもいい前提ばかり政治家言葉でくどくどと繰り返し、肝心なことは「こいつ、自分でもよく理解してないな」というのがバレバレの、「ダメな文章の見本」ばかりだ。よくまあ、こんなに下手な文章がかけるものだと感心してしまうレベルのものも珍しくない。
で、「餅は餅屋」とばかり、上手なやつの書いたのをコピーすることになるのだが、どうせまともには誰も読まないから、同じ文章がいくつもあることには滅多に気付かれない。
要するに、税金を使って海外視察なんかしても、あまり役に立っていないようなのだ。そもそも役に立つ情報なんて、視察旅行のずっと前に、現地の担当者から提供済みなのである。だったら、何のために政治家が視察旅行なんかに行くのかということになるが、それはそれ、初めから付いていた道筋に、もっともらしいお墨付きを与えるという「お役目」があるらしいのである。
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