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2016年10月27日

自民党総裁の任期延長を巡る冒険

自民党の政治制度改革実行本部全体会議で、総裁の任期を「連続 2期 6年」から「連続 3期 9年」に延長することに決まったんだそうだ。正式には総務会で年内に了承され、来年 3月の党大会で党則改正して確定するのだが、まあ、ここまでくれば決定したとみていいんだろう。

Abeishi

自民党の総裁任期に関しては、これまでもちょくちょく改正され、長くなったり短くなったりしている。1955年の結党時から 1972年までは 2年、1972年から 1978年までは 3年、1978年から 2003年まで 2年、2003年以降は 3年となっている。

日本の総理大臣は自民党総裁が務めるということが圧倒的に多いので、2年やそこらでちょこちょこ顔ぶれが変わり、国際的には軽く見られがちということになっている。

自民党内に 「俺も総理大臣やりたいんだもんね」 というじいさんが大勢いる時は、国際的に名前すら覚えてもらえなくても、2年任期でどんどん交代できるようにしていた。まあ、誰がやっても同じようなものだからそれでよかった。

ただし 1974年に連続 3選が禁止されるまでは、何期でも務めることが出来た。連続再選の上限なんて決めなくても、どうせ順番だと思われていたのだが、佐藤栄作が 1964年の東京オリンピック後に、70年安保を挟んで 1972まで、ほぼ 8年近くにわたって総理大臣をやるなんて事態が生じてしまった。

たださすがに佐藤栄作時代の末期になると、「三角大福」(三木武夫、田中角栄、大平正芳、福田赳夫)と言われた 4人がひしめき始めたので、「いくらなんでも、頭がつっかえすぎちゃ、いつまでも順番が廻ってこない」ということになり、以後連続 3選が禁止された。

ところがそのほとぼりが冷めると中曽根康弘時代に、1986年の衆参同日選挙で大勝したため、特例として 2期目の任期が 1年延長されている。総裁任期という重要事項が、あっさりと「特例」なんてことで延長されるのだから、いい加減なものだ。

基本的に「俺も俺も」という声がさんざん上がっている時期は任期を制限し、強烈なキャラの神輿に乗る方が得策と判断すれば、任期を延長してでもヨイショする。その繰り返しで、かなりご都合主義なのである。

というわけで、今は安倍一強時代になってしまったので、「3期 9年」があっさり通ってしまったんだろう。「俺も」と言ってるのが石破茂 1人しかいないんだから、しょうがない。あの佐藤栄作時代を彷彿とさせるが、彼がノーベル平和賞を受賞しちゃった時は、「悪い冗談だろ」と思ったものだよ。

 

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コメント

佐藤栄作の首相在任期間は1972年までのようです。wikipediaで調べただけですが、ご確認ください。

投稿: TJ | 2016年11月 6日 09:47

TJ さん:

大幅で亀レスで申し訳ありません。


私の間違いでしたので、修正させていただきました。ありがとうございました。

投稿: tak | 2020年11月11日 19:34

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