昔のビデオでもの悲しい郷愁に浸る
BS 放送に力が入っているのは、NHK と WOWOW などの BS 専門局ぐらいのもので、フツーの民間放送はショップチャンネルや QVC などのテレビショッピングの他は、韓国ドラマや昔の時代劇の再放送なんかでお茶を濁している。で、たまたま昔の時代劇なんかをちらっと見ると、その解像度の低さにびっくりしてしまう。
我々は今、ハイビジョンやらフル・ハイビジョンやらの高解像度の映像に慣れてしまっているが、昔のテレビの解像度なんて、めちゃくちゃ低かった。試しに YouTube で昔の CM なんかを見てみると、その画像の粗さとコピーのダサさに唖然としてしまう。
レナウンの「イエイエ」なんて、名 CM として語られたりするが、改めて見てみれば、こんなものである。「これがニットのトータルルック、上の色と下の色がぴったり」 とか 「ボンネルで作ったヤング・カジュアル」 とかのダサダサ・コピーとそれに見合うお笑いみたいな振り付け、それにレナウンの現状を重ね合わせると、もの悲しさが先に立つばかりだ。
上にはめ込んだ小さな画面だと、粗さは辛うじて目立たないが、直接 Youtube のサイトに行って(参照)全画面モードにしてみると、これがもう、どえらい粗さなのだ。画像表示というのは恐ろしいもので、「そんなに解像度上げたって、シワが目立つだけでしょ」 なんて言ってても、慣れてしまうと元の粗さには戻れない。
とくに昔のビデオを今の大きなテレビ画面でみると、その粗さがますます目立ってしまい、もの悲しいまでの想いにとらわれる。テクノ社会では、昔のイメージに積極的な意味を付加する努力を怠ると、ペシミスティックな方向にのみ流れてしまいがちだ。
その点、音楽は強いもので、60年代のビートルズの曲が今でも新鮮に聞こえたりするし、クラシック音楽なんて不朽の輝きをもっている。動画というジャンルは、テクノロジー的にはごく最近になってようやく使い物になる段階に到達したのかもしれない。
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コメント
Oh〜!モーレツ!
子どもの頃のCMを(動画サイトで)見てみると、字幕スーパーやエコーの効果がふんだんに取り入れられていました。
当時の最先端だったんですよね。
また、ラジオと共通なのか、商品名やメーカー名を連呼していることも特徴です。
画像も鮮明さはなく、音声はモノラルで、若世代の言う「逆に新鮮」なのでしょうか。
アタクシも、懐かしい感はありますが、訴求効果は感じません。
案外、「動かない音声のみのCM」が受けたりして…。
投稿: 乙痴庵 | 2016年11月17日 12:26
乙痴庵 さん:
昔は宣伝広告には結構な金を使っていたんですよ。贅沢しまくり感がありました。
テレビ広告のために海外ロケするなんてごくフツーで、「英国貴族の広大な敷地内の池で船遊びをする光景」 という触れ込みの映像が、鎮守の森のドブ池にしか見えないなんてのがザラでした。
「こんなことに 3千万円使ったのか!」 と呆れてました。
私の故郷は田舎なので、レナウンの 「イエ・イエ」 はリアルタイムで見たことがありませんでした。その筋の世界では 「名作 CM」 とされていますが、今見てみると、「こんなダサダサだったのか!」 と驚きです。
今の広告代理店は、贅沢しまくり感が享受できなくなったのに、労働時間だけは昔のままですから、ブラック化してるんでしょうね。
投稿: tak | 2016年11月17日 22:31
楽しませていただきました。
昔、レナウンのCMが流れると一緒に”イエーイイエーイ”と口ずさんでる人がいましたね。それくらい当時はcool だったんですね。今見ると、もの悲しさいっぱいであれは何だったんだろうって感じですね。
夏目雅子さんのCMはどこで取ったんでしょうか。鳥取?
日焼けした肌を健康的で美しいとする時代がまた来ないかなと強く思いましたね。
さて、現在のCMは50年後にどう評価されるでしょうか。多分、映像の鮮明さは酷評されないでしょうが、内容はダサダサって言われるでしょうね。
投稿: ハマッコー | 2016年11月18日 00:37
ハマッコー さん:
>夏目雅子さんのCMはどこで取ったんでしょうか。鳥取?
ググってみたところ、なんとチュニジアまで行ってたようですよ。どうやら本当のことのようです。チュニジア・ロケまでやったんだというのが、重要なサイド・ストーリーだったんでしょうね。
https://ja.wikipedia.org/wiki/夏目雅子#cite_note-8
今だったら鳥取で済ませてるところかもしれませんが、鳥取砂丘にいるラクダの数だけでは足りないかしれないのが、ネックでしょうか (^o^)
投稿: tak | 2016年11月20日 14:17