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2016年11月27日

TPP は死んでしまったみたいだから

ドナルド・トランプが 「大統領に就任したらすぐに TPP(環太平洋パートナーシップ協定) を脱退する」 と明言しているのだから、まともに考えたら既に 「TPP は死んだ」 のだろう。

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私はこのブログで、TPP 賛成の態度表明をしてきた。ただそれは、積極的な賛成というわけではなく、しぶしぶながらというところだった。その理由は、2013年 3月 16日の記事で書いているように、「中国の影響がやたら強い経済圏で暮らすよりも、いろいろと問題はあるだろうが、TPP の中で暮らす方が、少しは気分が良さそうだ」 ということである (参照)。

TPP が死んでしまったら、それとばかりに中国が環太平洋経済圏での主導権を握ろうとするだろう。ドナルド・トランプに考え直させることができるとすれば、「それでもいいの?」 と迫ることだ。「そんなこと、知ったことじゃない。米国は米国の中の雇用が安定しさえすればいいのだ」 というなら、それはそれでしょうがない。

よく言われることだが、米国経済における第二次産業の占める比率というのは、既に 4分の 1を切ってしまっていて、工業製品なんかより技術やノウハウ、特許などの方がずっと稼ぎになるのだから、自動車産業の雇用が多少増えてもしょうがないということもある。でも、トランプは 「そんなこと知ったことじゃない」 という立場のようだから、これも仕方がない。

トランプがどうしても態度を変えないというなら、この期に及んで TPP にこだわり続けていては周回遅れランナーになってしまう。お笑いぐさだ。

元々 TPP というのはビミョーな問題をはらみすぎるほどはらんでいて、民主党政権時代は首相を務めていた野田さんが積極的に推進していて、自民党なんて 「断固反対」 なんて言っていたのだ。それがいつの間にか両方とも過去のいきさつを忘れてしまったかのように立場を 180度入れ替えた議論になっている。

要するに日本の政治というのは、政権に就いてしまったら米国の腰巾着をし、野党になったら何でも反対するのがお約束なのだ。ところが政権党がずっと忠義立てしてきたはずの米国が、いきなり 「TPP 脱退」 なんてことを言い出したので、はしごを外された格好になってしまっている。

選挙戦ではトランプだけじゃなく、ヒラリーまでそんなことを言っていたのだから、まったく世の中、何が起きるかわからない。間違いなく言えることは、世の中の振り子が大きく逆方向に触れ始めたらしいということだ。

とりあえずしばらくは、TPP よりちょっと居心地が悪いだろうと思われる、中国に引きずられた形の経済の中で我慢するしかないのだろう。その中で、多少は居心地改善の努力をしなければならない。

 

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