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2016年11月18日

カタカナ言葉は「魔法の呪文」

毎日新聞の日曜版目次で「スリザーリンク」という言葉を目にして、「そりゃ、いったい何じゃ?」と思った。さっそくそのページを開いてみると、問題のとなりに以下の写真の説明がある。

Sl

要するに、数字で示された数だけの線を引いて、それを結んで全体で一つの輪を作るというゲームらしい。時間に追われていない人なら、いい暇つぶしになるだろうが、悪いけど自分でそれをやろうとは思わない。

私はこのパズルのルールなんてことよりも、まず最初に興味を持ったのは、「スリザー」という言葉についてだった。「スリザーって、一体どういう意味なんだ?」ということである。どうみても英語のようで、しかもそんなに複雑な言葉じゃないのは明らかだが、恥ずかしながら私のボキャブラリーにない。

辞書で調べようにも、カタカナの「サ行・ザ行」と「ラ行」は英語のスペル候補が複数ある。 "S" だったり "TH" だったり、そして、"R" だったり "L" だったりするので、かなりうっとうしい。そこで辞書で調べるよりもまず、ググってみることにした。

すると Wikipedia ですぐに "slitherlink" だと知れたのである。"slither link" という 2語ではなく、1語なのだね。そこでようやく Wisdom 英和辞典に移ることができて、"slither" の意味がわかった。

まず自動詞として「1. (不安定にずるずると)≪...を≫ すべる、すべりながら進む ; <ヘビなどが> するするとすべるように進む <through, across> 2. ≪...を≫ すべり落ちる[降りる] ≪down≫」という意味があり、次に他動詞として 「... をずるずるとすべらせる」、そして可算名詞として「ずるずるとすべること」という意味になる。

なるほどね、ヘビがスルスルと這い進むイメージみたいで、上の画像をみても、スリザーリンクの回答はヘビの這った跡みたいに見えないこともない。「スリザー」とは要するに、スペルからしても「スリスリ、ズルズル」である。

ここまで知れて、ようやく気が済んだ。「スリザーリンク」という言葉は 「なんだかわからない魔法の呪文」から、「ちゃんとした意味のある言葉」に変わったのである。気が済んでしまったので、パズルに挑戦しようなんて気はさらさら起きない。

思えば、「カタカナ言葉はわからない」という人は、「魔法の呪文からちゃんとした意味のある言葉」への変換をしない人である。

例えば "hybrid"(交配種)という単語を知らず、「ハイブリッドカー」という言葉しか知らなければ、それはクルマの特定の駆動方式以上の広がりを持たない「魔法の呪文」でしかない。ましてや次のようなアルファベットだけの略語の IT 用語となると、その世界でメシを食ってる人間でも元の言葉を知らないことが多く、そのへんのオッサンが「IT 用語はわけがわからん」と嘆くのも道理である。

DPI: Dots Per Inch (1インチあたりのドット = ドット密度の単位)
FTP: File Transfer Protocol (ファイル転送プロトコル)
LAN: Local Area Network (構内ネットワーク)
OCR: Optical Character Reader (光学式文字読み取り装置)

思いっきり文系人間の私が、曲がりなりにも PC を使いこなし、インターネットの世界に気軽に出没していられるのは、カタカナ言葉やアルファベットの略語が、私の中では「魔法の呪文」ではなく「意味のあるフツーの言葉」として理解されているからである。もし私が英語が苦手だったら、キーボードに触ることもできなかっただろう。

ただ、私は英語以外の外国語をほとんど知らないので、一昨年の正月の記事で書いたように、フランス語やイタリア語や韓国語由来のカタカナ名前の食べ物が、さっぱりわからない。「フォンデュ」とか「テリーヌ」とか「カルパッチョ」とか「ビビンバ」なんて何度聞いてもすぐに忘れて、どんなものか想像もつかなくなる。

それらは私にとってはまさに「魔法の呪文」そのもので、なるほど、これが IT 用語の世界だったら、さぞかし困るだろうなあと思う。IT 用語がほとんど英語の世界で本当によかった。

 

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