米大統領選挙に関する記事では、めちゃくちゃ反省だ
ああ、めちゃくちゃ反省している。何かって、もちろん米国大統領選挙直前の、自分の記事の誤りについてだ。
私は 今月 6日の記事 で 「どうやら世界は大きく変わってきているようなのだ。今回はおそらくヒラリーが勝ってしまうんだろうが、次はわからない」 なんて書いてしまった。「世界が大きく変わってきている」ときちんとわかっておきながら、どうして「今回はおそらくヒラリーが勝ってしまうんだろうが」なんて書いてしまったんだろう。
もっと言えば私は昨年あたりまで、「ヒラリーはただスマートなだけ」とか、「賞味期限切れのヒラリー」とか、散々書いてきた。とくに後者の記事では、「米国初の女性大統領になるのは、ヒラリー以外の誰かだろう」とまで言い切っている。
せっかくまともに正しい予言をしていたのに、我ながらどうした気の迷いか、昨年 7月に「生き返ったヒラリー・クリントン」なんて記事を書いて、少々期待するみたいなことを言ってしまった。ただ、それでも自分で書いた記事を自分で信じきれず、何度もくさしてきた。
今年 2月には「ヒラリーの悪いクセ」という記事で、「何かツッコまれると典型的にステロタイプな反応をして、それで解決したつもりになっている」と指摘した。その悪いクセのせいもあって、8年前の民主党候補指名争いでオバマに負けたのに、ヒラリーは全然わかっていなかった。(それで今回も繰り返したというわけだ)
さらに 6月に、典型的なエスタブリッシュメントに過ぎない言動を繰り返しているだけでは、「党内でサンダースに競り勝っても、本選ではトランプのハチャメチャに勝てない」(参照)と書いている。ああ、ここまで決定的なことを書いたのに、それでもまだ今回の結果を見通せなかった。
いや、見通せてはいたのに、あえてそれを自分で信じようとしなかったのだ。まったく痛恨の限りである。
それは選挙終盤に世間に流布した「ヒラリーがややリード」なんていう情報を、疑いもなく受け入れてしまったからだ。どうして自分の直観を最後まで信じようとしなかったのだろう。世論調査がいつも実態を正しく反映してるなんて、あり得ないと知っていたはずじゃないか。
端的に言ってしまえば、ヒラリーよりもトランプの方が「より嫌い」だから、ちゃんと見えていたはずのことに目をつむってしまったのである。私は好き嫌いでの判断は極力しないと決めているのに、肝心なところでやらかしてしまった。そしてそれは、世界中のジャーナリズムが陥った罠でもある。
たとえトランプのスタイルが嫌いでも、あのスタイルで単なる泡沫候補の扱いから共和党の正式候補に上り詰めた事実とその要因をきちんと分析し、認識すべきだったのだ。いくら気に入らない事実であってもね。
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コメント
そんなにご自分を責めないで下さい。ずっと正しく見据えていらしたではありませんか。
より嫌われている者同士の競り合いという、前代未聞の米大統領選、これまで二転三転どころか十転も二十転も繰り返されて、結果は開けて見なければわからない状態でした。
「隠れトランプ」の存在が大きかったこと、日本人の私には見抜けませんでした。
これからもtakさんの記事を楽しみにしております。どんどん書いて下さい。
投稿: K.N | 2016年11月10日 11:49
K.N さん:
ありがとうございます。
ただ、総得票数ではヒラリーの方が上回っていたようですので、言い訳の材料にはなるかもしれませんが、それでもやっぱり、痛恨の極みではあります。
今回の件をいいクスリにして、よりしっかりした 「眼」 を養いたいと思っております。よろしくお願いいたします。
投稿: tak | 2016年11月10日 20:52