政治家の妻は「ウッカリ夫人」を演じなければならない
宮城県議会議長が 2代続けて白紙領収証問題で引責辞任するという(参照)。辞任した中山氏によると、クルマの運転代行の料金を支払った際に業者から金額が空欄の領収証を受け取り、その領収証に妻が金額を誤って記入したのだという。
私は運転代行というサービスを利用したことがないので、領収証発行についてどんなシステムになっているのか知らない。ただタクシーに関していえば、今はスーパーのレシートみたいなのに金額が自動的に印字されて出てくるシステムが多いが、昔は当たり前のように白紙領収証をくれる運転手が多かった。
私は数字に弱くて支払金額なんてすぐに忘れてしまうから、「ちゃんと金額書いてよ」と要求すると、運転手は「こっちは忙しいから、そちらで記入してください」なんて言うのだった。今から考えれば、妙な顧客サービスのつもりだったんだろう。「当社はいつも白紙領収証を出しますから、次回もよろしく」ってなもんだ。
ところが「そちらで記入してください」なんて言われても、こちらはタクシーの料金体系を知らないから、あり得ない金額を記入して会社の経理に文句を言われたくない。だからいつもその場で、「ちょっと待ってよ、忘れないうちに書いちゃうから」なんて言って、正直な金額を自分で書いていた。
こちらとしては、「だから初めからそっちで書いてくれる方が、結局のところ手っ取り早く済むんだよ」と言いたかったが、運転手としては「時々こういう馬鹿正直な客がいるから、手間がかかるんだよ」と、苦々しく思っていたに違いない。
同僚の中には、タクシーの料金体系をきちんと知っていて、いつももっともらしい多めの金額を記入しているやつもいたが、私はせいぜい 200〜300円余計にせしめるためにそこまで面倒なことをする気はなかった。10回やっても 2,000〜3,000円の違いにしかならないことで、自分の品性を卑しめたくはないじゃないか。
ところが世の中には、そんなちゃっちいことをする人が案外多いのだね。ずいぶんマメなことである。昔『チャッカリ夫人とウッカリ夫人』というラジオドラマがあったが、バレちゃった時に「ウッカリ夫人」を演じなければならない政治家の妻というのは、思えばずいぶん気の毒なことである。
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