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2016年12月 1日

ショートカット・キーは誰でも使えるってわけじゃなかった

PC を使って作業する際に、ショートカット・キーを使うと効率がものすごく高まるというのは誰でも知っていると思っていたが、実際に使っている人は決して多くない。周囲を見渡してみても、5人に 1人もいないんじゃないかという印象である。

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PC の世界には便利なショートカット・キーがものすごくたくさんあって、それを全部知っている人なんて極々少数だろう。私にしても知っているのは 20に満たないんじゃないかと思うが、それでも知っているのといないのとでは、作業効率に天と地ほどの差が生じる。

最も頻繁に使用するのは、「command (Windows の場合は Ctrl)+ C」 と 「command (Windows の場合は Ctrl)+ V」 のコピペの操作である。前者がコピーで、後者がペースト(貼り付け)だ。いちいちマウス・クリックでコピペするのが死ぬほど面倒に感じられるほど、指先にしみついた動きになっている。他は何にも知らなくていいから、この 2つだけは知っておくといいよと、人にも勧めている。

ところが、いくら教えてもショートカット・キーの使えない人がいると、最近初めて知った。

先日、知り合いに上述の 2つのショートカット・キーを教え、「とりあえず、実際にやってみて」とやらせてみたが、彼はどうしてもできないのである。コピペするために、マウスでコピーの範囲を指定させた上で (彼のマシンは Windows PC だったので)「Ctrl + C」をやらせると、最初は左手の人差し指で「Ctrl」、右手の人差し指で「C」 、つまり両手を使って押そうとした。

「だめだめ、右手のマウスでコピーの範囲や貼り付け先を指定しつつ、左手だけでショートカット・キーを押すからサクサクできるんであって、いちいちマウスから右手を離してたら意味ないよ」と、左手だけでやらせてみる。するとどうしても「Ctrl」キーを確実に押すことができず、画面上では範囲指定した文字列が空しく「c」の 1文字に置き換わるだけだ。何度やっても同じことで、こっちまでがっくり疲れる。

ここで初めて、私は自分が「Ctrl」キーを左手小指で押していることに気がついた。私は PC に触るより先にギターを弾いていた人なので、左手の小指は元々苦もなく自在に操れる。しかし彼がそれを真似ようとすると、小指に力が入らず、「C」のキーだけを押してしまう結果になる。

「小指が使いづらかったら、中指と人差し指の 2本を使うのでも何でもいいから、やってごらん」と助け船を出しても、長い中指で手前の 「Ctrl」 キーを押しつつ、人差し指をその先のキーに伸ばすという動作がどうにもやりにくいようで、「指がつってしまいそう」と言う。そして 「こんな不自然な指の動きを強制されるぐらいなら、マウスを使う方がずっと手っ取り早い」と頑強に主張する。

彼は決して不器用な男ではないのだが、ショートカット・キーの打鍵だけはどうしてもスムーズにできないようなのである。

ここで私は「なるほど!」と合点した。ショートカット・キーは、タッチタイピングができるぐらいのスキルをベースにしないと、かえって時間がかかるのだ。ましてや普段のタイピングでも両手の人差し指しか使っていないような人に「ショートカット・キーは便利だよ」なんて言っても、片手で 2つのキーを同時打鍵することすらできない。

インターネット上では「ショートカット・キーを覚えると作業効率が格段に向上する」などと、お気楽に使用を勧めるページがいくらでも見つかるのだが、どんなに勧められても、「はい、そうですか」とすぐにできる人はそう多くないのだ。この年になって、それに初めて気がついた。それまでは、「なんで皆使わないんだろう?」と不思議に思うばかりだったのだ。

最近のオフィスワークは PC を使うのが前提みたいなものだから、仕事の速い人はサクサク気持ちよくこなすが、遅い人はいつまで経っても、側で見ていてイライラするほどトロいままだ。その理由の一端は、こんなところにもあるとわかった。

 

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コメント

>タッチタイピング

これができないと仕事の能率がグーンと下がります。
その昔、慣れていたカナ入力のワープロからpCに移行した時、ローマ字入力を真っ先に練習しました。遊びを兼ねたソフトがあって、楽しかったです。そのソフト、ショートカットキーのトレーニングも入っていて、PCをやる人にはお勧めだと思っていましたが、今では無料で練習できるサイトが複数件あるようで、要はやる気次第です。

>小指を一つのキーに固定したまま他の指で別キーを押す

余程離れたキーどうしでなければ造作もないことだと思っていました。なるほど、楽器で慣れていることも関係しているのですね。ピアノでも、小指(特に左手)をコードのトニックに固定したまま、他の指で3,5音などでリズムを刻むのはエチュードの基本です。子供のころ、慣れるまでやりにくかったことを思い出しました。鍵盤やギターの弦を抑えるのに比べたら、PCのキーは非常に軽いのですが、小指で抑えたあと、いつまでも力を入れていると確かに指がつるかも知れません。

自分が当たり前にやっていることでも、皆が皆そうではないことに気づかされました。

投稿: K.N | 2016年12月 2日 12:09

K.N. さん:

>ピアノでも、小指(特に左手)をコードのトニックに固定したまま、他の指で3,5音などでリズムを刻むのはエチュードの基本です。

これ、ショートカット・キーの押さえ方とかなり似た感覚ですよね (^o^)

>自分が当たり前にやっていることでも、皆が皆そうではないことに気づかされました。

そうなんですよ。私もびっくりしてしまいました。ちょっとした盲点ですね。

投稿: tak | 2016年12月 2日 18:58

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