曜日の名前について、洋の東西
「曜日」ということのコンセプトについて、ちょっとだけ書いておきたい。日本語の場合は、「日、月、火、水、木、金、土」 で、これは古くからある 「五行説」 (あらゆるものは、「火、水、木、金、土」 の 5つの要素からなるという説) に由来して、それに 「太陽/月」 をプラスしているのは明らかだ。
一週間を 7つの「曜日」とする「七曜」のシステムは、明治以後に西洋から日本に伝わったものと思われがちだが、実は平安時代にはあったようなのである。Wikipedia の「曜日」という項には、次のように記されている。
日本には入唐留学僧らが持ち帰った「宿曜経」等の密教教典によって、平安時代初頭に伝えられた。宿曜経が伝えられて間もなく、朝廷が発行する具註暦にも曜日が記載されるようになり、現在の六曜のような、吉凶判断の道具として使われてきた。藤原道長の日記 『御堂関白記』 には毎日の曜日が記載されている。
いやはや、ものごとというのは調べてみるものである。こればかりは、この年になるまで知らなかった。
そして英語の場合の名称でも "Sunday" "Monday" は、それぞれ「太陽」「月」を指すから、共通している。ただこれは、元々世界中でそういうコンセプトで名付けられたのかどうかは、ちょっとわからない。ラテン語系では、日曜日は 「主の日」 という意味の言葉になっている。
英語の曜日の名称は、当然ながら五行説とは一致しない。火曜日から土曜日は、北欧神話に由来しているらしいのである。
Tuesday(火曜日)は、北欧神話の軍神「チュール(ティル)」からきている。"S" が付いて「チュールの日」という意味になる。以下、順を追って書く。
Wednesday(水曜日)は、北欧神話の主神「オーディン」の日。 "Odin" が "Woden" "Wenden" に変化して、Wednesday になった。ちなみに "Odin" は怒りを意味するという。最高神は怖い存在のようなのである。
Thursday(木曜日)は、雷神「トール」の日。トールは怪力の戦神・雷神で農耕神でもあったという。
Friday(金曜日)は、愛と美と豊穣の女神「フレイア の日。発音が似ているため、主神オーディンの妃の「フリッグ」と混同されているということもあるらしい。
Saturday (土曜日) は、人類に畑作を教え、ブドウの木の剪定方法を教えた農耕神「サトゥルヌス」(ローマ神話では "Saturn" の日。日本人はややもすると、「悪魔」 の "Satan" と混同してしまいがちだが、まったく別の言葉である。
ついでに書くと、日本語では曜日の呼称と惑星の名前は共通しているが、英語では惑星の名前は、ギリシャ神話由来である。火星は軍神 "Mars" で、水星は商業の神 "Mercury"、木星は最高神の "Jupiter"、金星は美の女神 "Venus"、土星は土曜日と同様に、農耕神 "Saturn" だ。
火曜日/火星の由来は軍神で、金曜日/金星が美の女神、土曜日/土星が農耕神というのは共通しているが、これは日本語を介してみているので、たまたま共通性が目立つだけなのかもしれない。最高神の名前は、水曜日と木星に分かれている。
これに関しては、よくよく考察すればいろいろなことがわかってくるかもしれない。
| 固定リンク
「比較文化・フォークロア」カテゴリの記事
- 鹿児島弁の「へがふっど」が、わかってしまった(2023.05.15)
- マツケンサンバで、なぜか「酒田ばやし」を思い出す(2023.05.13)
- "LGBT" と「クロス・ジェンダー・パフォーマンス」の差(2023.05.03)
- ベルリンの公園と東京の神宮前の間の落差(2023.04.11)
- 空いた道をノーヘルにマスク着用で自転車に乗る人たち(2023.04.10)
コメント