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2016年12月21日

安倍首相は、百戦錬磨のプーチンに手玉に取られた?

タイミング的にはちょっと遅れてしまったわけだが、今回の安倍・プーチン会談の結果について、なんだかよくわからないけど、垣間見えてきたと思われることだけ整理してまとめておきたいと思う。まあ、世の中では「安倍首相が百戦錬磨のプーチンに手玉に取られた」ということになっているわけだが。

Hoppo

上の地図は、一目見てわかるように、今回大きな問題となった北方領土関連のものだ。外務省のサイト (参照) から拝借したものである。こうして改めて見ると、「北方四島は日本のものじゃない」 なんて言われたら、「おいおい、いくらなんでも、そりゃひどい話だろう!」 と言いたくなる感覚も、しっくりとくる。とりわけ歯舞色丹なんて、根室半島から点々とつながっていて、地形上でも日本そのものに見える。

さらに国後、択捉の二島は結構大きな島で、とくに択捉島なんて、戦略上の意味合いからもロシアは手放したくないのだろうというのもうかがえる。無茶を言えば、樺太の南半分を返してもらえたら日本も陸上の国境線というのを持つことができて、さぞ見ものだろうと思うが、まあ、それは到底無理だろうね。

で、この北方領土問題について、安倍首相は当初、「自分の任期のうちに解決する」みたいなことを公言していたわけだが、それはあっさりと儚い夢ということで片付けられそうである。しかしあきらめがよすぎるのも考え物で、まだまだじっくりと交渉し続けなければならない。

今回はっきりしたのは、日本としても「四島を耳を揃えて返せ」とだけ言い続けるのでは、永遠に何の進展もないだろうということだ。今回の会談の結果が、「経済協力の口約束だけさせられて、北方領土問題では完全にケツまくられた」と言うのはあまりにも単純素朴すぎる見方で、「まずはこんなところから始めないと、何も進展しない」というのが実際のところなんだろう。

その意味では、北方領土問題はこれでおじゃんになったわけじゃなく、ようやくまともな話ができる段階の一歩手前まで辿り着いたということなのかもしれない。日本側の方で先回りして失望すぎると、ロシアの思うつぼだ。

とはいえ、「それだけのために、経済的な大盤振る舞いを約束させられたのか」 というのが、巷の大きな不満なのだが、経済協力と言っても金を出すのは圧倒的に日本で、しかも民間が主力となるのだから、向こうが誠意を見せなければこちらもグズグズしていればいい。ロシアに投資したくてたまらない企業なんてそんなにないし、政府は敢えて本気でプロモーション強化する必要もない。

日本が北方四島を返して欲しいと思っている以上に、ロシアは日本の金が欲しいのだろうから、ようやくまともな駆け引きのできる舞台ができたとみることができるわけだ。本当に面倒な話だけど。

それと同時に、日本がロシアと接近することで、極東における中国の位置づけが少々ビミョーになる。つまり「中国のやりたい放題にはさせないよ」という一定の意思表示にはなるだろうと指摘されている。これは案外な副産物だ。

とまあ、ぼんくらな私にはこの程度のことしか見えないのである。でもまあ、一応見えたところまでは書き記しておいても損はないだろう。いずれにしても国際関係、とくにロシアとか中国とかを相手にした交渉ってのは、ほとほとうんざりするところがあるようだ。

最後に一言書いておくが、安倍首相が途中までちょっとはしゃぎすぎていたのは確かなことで、その意味では 「手玉に取られた」 というのは言えてるだろう。

 

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