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2016年12月15日

日本語の「ん」の発音

Twitter 上で коноплякиноварь(まりこ) さんが、"日本語の「ん」には3つの発音があると習ったのは大学の、授業ではなくて合唱部でだったな。そう、日本人のほとんどは意識してないけど、違うんだよね" と、エリカさんというドイツ在住(らしい)の方の tweet を引用して指摘しておいでだ(参照)。そう、日本語の「ん」の発音のコンセプトは、確かに融通無碍すぎるかもしれない。

161215元 tweet のエリカさんの記事は、次のようなものだ (参照)。

① さんにん
② さんまい
③ さんかく

この 3つの 「ん」、アルファベットで書くとそれぞれ sannin,  sammai,  sangkaku で、ドイツ人の耳には全く違う音に聞こえてるらしい。確かに ① の「ん」では唇がつかないけど ② ではくっついてて、③ だけ舌が上あごの奥に触れてる。

「ドイツ人の耳には全く違う音に聞こえてるらしい」というのは、多分ドイツ人だけじゃなくて、多くのヨーロッパ系言語を話す人もそうなんじゃないかと思う。ドイツ人がとりわけ厳密に考えているという可能性もあるけどね。

で、まりこさんの書かれているように、日本でも合唱をしたりすると、この発音の区別に敏感になる。コーラスの中で "n" と "m" の発音が混在すると、濁ってきたなく聞こえてしまうからだ。

で、エリカさんはこの tweet に続き、次のようにも書かれていて、とても興味深い (参照)。

だから日本語勉強中のドイツ人に 「ねぇ信号の発音って、しんごう? それとも、しんごう?」 って聞かれて「?????」ってなるんだなぁ……………

上の図は、「英語で悩むあなたのために」というサイトの 「子音 / ŋ /」 というページから拝借している。この 3つのメカニズムで発音される音が、日本語ではすべて「ん」という文字で表現される。だから、「しんごう? それとも、しんごう?」 と聞かれたりすることになるわけだが、実は「信号」の発音にはとくにややこしいところがある。

「信号」 をローマ字表記すると "shimgo" じゃないのは明らかなので、"shingo" と表記することになるのだが、そうすると「ん」の発音が "n" なのか "ŋ" なのか、甚だ不明確になるのだ。でもまあ、実際のところは "n" の音を省いた "ŋ" なんだけどね。ああ、面倒くさい。

この関連でいうと、多くの新聞社のサイトで、URL が "shinbun" と表記されている (例えば ここ とか、ここ とか) のが、妙なところにこだわりたがる私としては気になってしまう。「う〜ん、"shimbun" にしてくれんかなあ」なんて思ってしまうのだ。それだけじゃなく、ついローマ字に引きずられて "shin-bun" と、舌の先を上あごの内側につけて発音する自分を発見したりする。

これって、ある意味ビョーキだ。

 

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コメント

「群馬県」は公式に「gunma」と表記してますし、
「群馬銀行」も「gunma bank」、
「群馬大学」も「gunma university」としています。
http://www.pref.gunma.jp/
http://www.gunma-u.ac.jp/

いい加減に変えなよ、と思い続けて数十年。
一文字変えるにも、コストがかかるから現状維持なのかもしれません。

投稿: ハマッコー | 2016年12月17日 02:35

ハマッコー さん:

「ん」は "n" なのだと、硬直した思い込みで成り立ってるんですよね。
その元々の要因は、「ん」に 3種類あるってことにものすごく無意識だからです。

”Gunma" だと、ややもすると 「ぐぬま」 に聞こえちゃったりするんですけどね。

投稿: tak | 2016年12月17日 16:01

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