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2017年1月17日

「民意」 と 「支持率」

JNN 世論調査で、安倍内閣の支持率が 67%に上昇したことについて、「民意に反して支持率を集めている!!」 とした panama slim さんという方の tweet (参照) が、ネット上で 「なぞのいちゃもん、日本中が笑った」 と dis られまくっている。

 

170117

上記でリンクした先の netgeek というサイトでは、「一体何を言っているのか到底理解し難い。こんな短い一文で矛盾することができるとはかなりのギャグセンスの持ち主だ。ウケ狙いでやったのでなければもはや思考回路が正常に機能していないのだろう」と、散々な言われようである。

しかし、ちょっと冷静になって考えれば、「民意」が「支持率」にストレートに反映されないなんて、それほど珍しいことではない。つまり件の tweet は、そんなにまで寄ってたかって笑いものにするほどのことでもない。「思考回路が正常に機能していない」とは言い過ぎだろう。

そもそも「民意」とは、ちょっと考えればわかるように甚だ曖昧な言葉である。『大辞林』では「国民の意思。人民の意思」とされているが、そんなのは解釈によってどうにでもなるもので、「主観要素」が入り込む余地がたっぷりある。

一方「支持率」というのは、一応は統計的調査によって導き出された「客観数字」という体裁を取っている。人の数だけあっても不思議じゃない「民意」と、客観数字の「支持率」が一致しなくても、不思議ではない。さらに「支持率」そのものも調査方法によってバラツキの生じるのは毎度のことで、絶対的なものではない。

ということは、「民意」と「支持率」が一致しないというテキストが存在しても、そんなにまで鬼の首でも取ったようにあげつらうほどのものではない。あまりはしゃぎすぎてはいけない。今回の騒動は早く言えば、左がかった tweet を、右がかった人たちが dis りまくっているという構図に見える。

とはいえ、「民意に反して支持率を集めている!!」というのが、不器用なテキストであることに変わりはない。そして panama slim さんは後日、次のような補足的 tweet を書き込んでいる。(参照


多数意見ではない民意のほかにも、市民によらない市民運動。個人の多様性は押し付けても、ローカルな社会の多様性は認めないリベラル。日々変化する現実を見ようとしない進歩的知識人。自分で翻訳しつつ読まなければいけない言葉はたくさんあります。

問題の tweetは、「安倍内閣は、私の考える民意に反して支持率を高めている」と翻訳すればいいのだろうけど、後日の tweet にしても「翻訳 の必要度の高いテキストではある。気持ちはわかるけど。

 

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コメント

日本も一票の格差があるので
結果として与党がどちらにしても勝ったとしても
本来の民意の比率とはズレがあるとは思う
あと、公約を信じて投票した人が居るなら
公約で守らなかった事があるなら
それも民意に反している
与党が与党になる事自体は民意と言えるだろうけど
その与党がやることなすこと、またやらなかった事が
民意とは限らない
党内ですら反発があるのに決めてしまう場合もある訳だし
そもそも、与党が決めたら民意だからなにも文句言えないのなら
それも民主主義に反すると思う
有権者は王様を選んだ訳ではないのだから
与党になる事が民意であって
与党が滅茶苦茶な事をしても
そのすべてを民意と言ってしまえば
与党は何やっても許されるという事になり
憲法の存在すら否定することになる

投稿: 選挙の結果の場合 | 2017年1月23日 12:22

選挙の結果の場合 さん:

>与党が滅茶苦茶な事をしても
>そのすべてを民意と言ってしまえば
>与党は何やっても許されるという事になり
>憲法の存在すら否定することになる

安倍さんのやろうとしていることは、これに近いんじゃないかと思ってしまうのですよね。

投稿: tak | 2017年1月23日 14:03

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