« 国民の 61%が 『坊ちゃん』 を読んでいるというのだが | トップページ | 米、メキシコ国境の壁の建設が始まってしまうのか »

2017年1月26日

マルチ商法というもの

朝一番でクルマの運転をしながらラジオ・ニュースを聞いていると、リゾネットとかいう会社がマルチ販売で 3ヶ月間の業務停止命令を受けたという。「へえ、マルチ商法ってのは、まだ健在なんだなあ」と思い、帰宅してからちょっとググって見ると、今も昔も変わらず、「楽して儲けよう」というやつがいるらしいのである。(参照

170126

業務停止命令が出た後もこの会社のサイト (上の写真は、今どきバブリーなまでのトップページの画像)はしっかり生きていて、今回の件については一言も触れられていない。なかなかいい度胸をしている。おもしろいのは「リゾネット」というキーワードでググると、「リゾネットの勧誘を受けた」という体験談がブログなどで結構公開されていることで、「なるほど、こんな風にして会員を募るのか」と、興味深く読んだ。

マルチ商法というのは、大抵自分が勧誘されて会員になる時には、入会金とかなんとかの名目で、ある程度のまとまった金を払わされる。そして自分が勧誘を始めて「子会員」とか「孫会員」とかを作ると、自分の口座に結構な金が振り込まれ、その規模が膨らめば膨らむほど、自分は楽して金が儲かるという仕組みになっている。

実は私も半世紀近く前、田舎から上京して何もわからないまま都会生活を始めた頃に、どこかの喫茶店で会った調子のいいニイチャンに、マルチ商法に勧誘されたことがある。

詳しい内容はすっかり忘れてしまったが、手っ取り早く言えば、コンサートだかライブだかの運営をしている会社で、会員になれば毎月破格の値段でそのコンサートだかライブだかに入場でき、さらに自分が会員を増やして行けば、どんどん金が振り込まれるという、まさにマルチ商法の王道を行くような話だった。なんでも、5〜6人以上の子会員を持てば、左うちわで暮らせるという。

当時「マルチ商法に注意」なんていう情報はまだなかったし、そんな言葉すら知らなかったので、一応話を聞くだけは聞いてみた。しかし「楽して儲かるという話ほどアブないものはない」という常識に照らしてもアヤシすぎる話だし、たとえこの話が本当だったとしても、自分の友達に、よりによってそんな話に乗るようなバカが 5〜6人以上いるはずがないのである。それで、丁重にお断りしたわけだ。

この種の話を聞く度に思うのだが、真っ当な友だち付き合いをしている人間なら、こんな話を友人にもっていって、「俺の『子会員』になってくれないか」なんてことは言えるものではない。「お前、気は確かか?」と呆れられ、以後縁を切られるのが関の山というものだ。

ということは、こうした話に乗ってしまうのは、いつ縁を切られても構わないようなバカな友達が大勢いる連中なのだろう。まあ、別の言葉で言えば「軽薄なやつ」ということである。「類は友を呼ぶ」 というぐらいのものだから、軽薄なやつの回りには軽薄なやつが集まって、そしてその軽薄な付き合いの中で、マルチ商法というのは生き長らえているに違いない。

軽薄なやつに「心を入れ替えて真面目に生きろ!」と意見してもしょうがないから、自分たちの世界の中だけでマルチ商法をやって、そのうち潰れてしまう分には、こちらは全然構わない。しかしまともな人間にまで勧誘の手を伸ばして余計なストレスを強制するのは、甚だ迷惑だから止めて貰いたいものなのである。

|

« 国民の 61%が 『坊ちゃん』 を読んでいるというのだが | トップページ | 米、メキシコ国境の壁の建設が始まってしまうのか »

世間話」カテゴリの記事

コメント

私も‘70年代に仕事先の人に誘われたことがあります。”とてもいい話があるから”といわれて、集会に行ってみると500人くらいが集まっていて、壇上の人物が月に100万も稼いだというと、ウォーという歓声が上がり熱気に溢れていました。これを車に取り付けると燃費が何十%も改善されるというモノを扱っていました。私は、そんないいものがあればトヨタや日産が先にやってるわい、ばかばかしいと思い帰ってきました。こういう話に乗せられてしまうおばかちゃんがこんなにいるのかという思いでした。いつの時代も一定程度の人物がこういうマルチ商法にかかわるようです。怪しいマルチ商法は主にアメリカのユタ州からが多いですね。

投稿: ハマッコー | 2017年1月26日 23:19

ハマッコー さん:

あちこちのブログをみると、マルチ商法の 「説明会」 というのは、大勢集めて盛り上がっているような演出をするることが多いようですね。多くはサクラなのでしょうが、雰囲気で正常な判断力を喪失させる狙いがあるんでしょうね。

まあ、いずれにしても雰囲気で騙されるというのは、あんまり利口な人間じゃないです。

>怪しいマルチ商法は主にアメリカのユタ州からが多いですね。

米国の田舎ではなかなか欲しい物を買えない時代が長かったので、共同仕入れとか、通信販売とかのシステムが発達し、それを悪用する連中も現れたという経緯があるようですね。

投稿: tak | 2017年1月27日 18:14

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: マルチ商法というもの:

« 国民の 61%が 『坊ちゃん』 を読んでいるというのだが | トップページ | 米、メキシコ国境の壁の建設が始まってしまうのか »