例の「高齢者の再定義」という提言の胡散臭さ
昨日の「そもそも 「日本老年学会」 って、一体何なんだ?」という記事の続編である。昨日は、例の「高齢者は 75歳以上から」という唐突なニュースが、実は政府肝いりと疑われるワーキング・グループによって作られたもので、「日本老年学会」という組織自体がそもそもアヤシすぎるということを述べた。
上にあるのは、「社団法人 日本老年医学会」 というサイトに、お義理で仕方なくみたいに載っていた例の提言書(PDF)の、該当箇所を画像化したものである。そもそもこの提言書自体が、A4 でたった 2ページのどうでもいいような内容のものであることは、画像自体をクリックして飛んでみて、確認してみるといい。詳細な報告者は後日発表すると断り書きがあるが、どうせくどいだけの取って付けたようなものになるのだろう。
さらに驚いてしまったのが、「准高齢者/高齢者/超高齢者」という新提案区分の英訳である。それぞれ、"pre-old/old/oldest-old, super-old" という珍妙さだ。お医者さんたちの英語力って、この程度のものなのかなあ。
さらにお笑い草としか言いようのないのが、「この定義は主として先進国の高齢化事情を念頭においていますが、平均寿命の延伸と『若返り』現象が世界にひろがるようになれば、全世界的に通用する概念であると考えています」というくだりだ。こんな "oldest-old" なんていう珍妙な言葉が、全世界的に通用するのは、アニメの世界の話みたいな気がするわけだよね。
さらに、「超高齢者」(oldest-old, super-old)という概念の根拠が、「平均寿命を越えた 90歳以上とするのが妥当」という、これまたアニメ発想だったとは恐れ入った。そのうち平均寿命が 90歳を越えたらどうするつもりなのだろう。
というわけで、例の提言というのは真面目に取り上げるのが馬鹿馬鹿しいような代物と、私は言わせていただく。こんなものが今後政府に妙な形で利用されないように、その馬鹿馬鹿しさをしっかりと認識しておくことが必要だろう。
お上主導のワーキング・グループの提言なんて「初めに結論あり」で、胡散臭いものが多いのである。実は私自身もだいぶ前に、浮世のしがらみで複数のワーキング・グループに列席させられて、「なんなんだよ、こりゃ?」 とむかついたことがあるのだよね。
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コメント
当時は小泉内閣だったか。
タウンミーティングと似たり寄ったり手法ですな。
ワークショップでもワークライフバランスでも結構ですが、ワークと言う言葉が、労働と作業を混在させて使われている様な気がしてなりません。
カタカナにしてはぐらかす手法かなぁ。
投稿: 乙痴庵 | 2017年1月 8日 09:37
乙痴庵 さん:
>タウンミーティングと似たり寄ったり手法ですな。
そんなのありましたね (^o^)
いろいろな諮問会議を「初めに結論ありき」で開くのは、行政の常套手段ですよ。
>カタカナにしてはぐらかす手法かなぁ。
それは古くからありますね (^o^)
投稿: tak | 2017年1月 9日 22:53