例の「聞き流す英会話」の CM に関する素朴な疑問
昨日の "パソコン教室と、「聞き流す英会話」" という記事の続編である。まあ、あまり上品な内容ではないが、CM に接する度につい心に湧いてきちゃうことなので、ここらで一度吐き出しておかないと健康によくないと思い、敢えて書いてしまう。
例の 「スピードラーニング」 の CM についてである。プロゴルファーの石川遼選手も愛用なんだそうで、彼はこの教材のおかげで米国での活動にも不自由していないというのである。しかし私としては、あれだけいつも米国にいさえすれば、フツーは日常会話ぐらいはできるようになって当たり前というものだろうと思うのだよね。
彼が英会話に不自由していないとすれば、それは実践で鍛えたものと解釈する方が自然なんじゃないかなあ。少なくとも私なら、周り中が英語をしゃべっている中で、あえて「聞き流す英会話教材」なんて聞こうとは思わない。それよりも現地の人間と積極的に付き合えば自然に身につくだろう。
いやしかし、日本人というのは不思議な人種で、仕事で米国に赴任すると、現地で英会話のプライベート・レッスンを受ける人というのが大勢いるらしいから、もしかして石川遼選手も、英語の溢れる中で、ヘッドフォンでスピードラーニングを聞き流したりしているのかもしれない。ちょっと異様な光景のように思えるが。
もう一つの「素朴な疑問」は、いつも流れているラジオ CM に関してである。こんな内容だ。
アパレルの仕事で会ったアメリカ人に「英語ぐらいできるんだろうね」と言われ、 「ノー」と言ったら、「英語ができなくて何の仕事ができるんだ。お前帰れ!」と言われて傷ついた。
CM ではこれをきっかけに一念発起してスピードラーニングを始め、英会話を身につけたということになっているのだが、この「英語ぐらいできるんだろうね」という質問は、英語で聞かれたのか、日本語で聞かれたのか、よくわからないのである。
もし英語で聞かれたのなら、それを理解できたのだから、「ノー」と答えるのは論理的に矛盾している。だから日本語で聞かれたとしか考えられないのだが、それならば「できません」と言えばいいだけのことなのに、どうして「ノー」なんて答えたんだろうということになる。
それに相手のアメリカ人がそんなに流ちょうな日本語をしゃべるなら、日本語でやりとりすればいい。英語ができないぐらいで「お前帰れ!」なんて言うのは無茶苦茶な話で、初めからまともなビジネスをする気がなかったに違いない。いずれにしてもよくわからない CM である。
もうちょっと言ってしまえば、日本の「アパレルの仕事」というのは実は、知る人ぞ知る「ドメスティックな仕事」で、イメージに反して全然国際的じゃない。業界では密かに「まるドメ」(まるでドメスティック)と言われるほどのものである。アパレル業界周辺で 30年メシを食った私が言うのだから、間違いない。
英語ができないぐらいで米国人にこんなにまで口汚く罵倒されるとはリアリティがなさすぎて、できの悪い作り話というのがバレバレだ。
というわけで、私としてはつい教材自体を 「胡散臭いなあ」 と思ってしまうのだよね。悪いけど。
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