LP ガス小売価格は、めちゃくちゃ不透明なのだ
NHK が、「LP ガスの料金値下げなどへ新たな行政指針」というニュースを流していた。4月から始まる都市ガスの小売り自由化にともない、全国で 2400万世帯が利用する LP ガスについても事業者間の競争を促すための新たな行政指針を、経済産業省がまとめたという。(参照)
我が家は今では都市ガスになったが、なにしろ田園地帯を造成した住宅地のため、数年前まではガス管が通っておらず、LP ガスに頼っていた。引っ越してから 30年以上にわたって、同じ LP ガス業者と契約していたのだが、あの東日本大震災から半年ぐらい経ったある日、別の会社のセールスマンが訪ねてきて、かなり安い料金での提供を申し出た。それまでと比べると、明らかに 30%ぐらい安くなる。
なんでそんなに安くできるのかと訊ねると、「フツー、新規契約だとどこの業者でもこのくらい安い値段でのオファーができる」というのである。それが本当だとすれば、私は質問の仕方を間違えたことになる。本来は「じゃあ、ウチはどうしてそんなに高いガスを買わされてきたのか」と訊ねるべきだったのである。
そのセールスマンは、「これまで、円安傾向などを理由として、何度か値上げを承諾させられたでしょう」と言う。うむ、確かに年に 1度以上は 「円安で輸入価格が上がっているので、値上げさせていただきます」というオファーがあり、それを疑いもせず了承してきた。つまり我が家で購入する LP ガスの値段は、毎年少しずつ上がってきていた。
彼はさらに続ける。「これまで、円安を理由に値上げの申し出があったでしょうが、それなら、円高の時には値下げしてもらえましたか?」
うむ、そう言われてみれば、円安に振れたらさっさと値上げを呑まされたが、円高になったからといって値下げしてもらったことは一度もない。結局値上げされる一方で 30年以上買い続けてきたのである。
というわけで、LP ガスというのは、同じ業者と長年契約し続けていると、知らぬ間に相場よりかなり高い価格で買ってしまうことになるのだという。その業者は「ここまで内情をバラした以上、当社では状況によっては仕方なく値上げさせていただくこともありますが、逆の状況になったら、ちゃんと値下げします」と言う。
そこで、その業者と契約することに決めたのだが、LP ガス業界というのはわけのわからない慣習があるらしく、実際に新たな契約を結んで、その業者からの LP ガス提供を受けるまでには、3ヶ月近くかかった。それまでの業者が、頼みもしないのに勝手にボンベ交換をしてしまうのである。詳しい事情は忘れたが、そうされると、別の業者がそれを撤去して新たなボンベに付け替えるわけにいかないのだそうだ。
すったもんだのやりとりの挙げ句、ようやく新たな契約に切り替えて、それまでより安い価格で LP ガスを購入することができるようになったのだが、その 2年後ぐらいに東京ガスの配管工事が完成して、LP ガスの契約の必要がなくなり、今に至る。
NHK ニュースによると、料金メニューを公表している LP ガス事業者は全国 2万社のうち 150社程度と、全体の 1%にも満たず、小売価格の不透明さが指摘されているのだという。うむ、確かにそのようだ。同じ業者から買っても、客ごとに別の値段を請求されているわけである。何しろ長期に渡る顧客ほどボラれているというのだから、ひどいものだ。
もし長年にわたって同じ業者から LP ガスの提供を受け続けている方がいたら、一度別の業者に乗り換えてみるといい。多分、ずっと安い価格で買えると思うから。インターネット上で LP ガスの適正価格がわかる「プロパンガス価格適正化協会」というサイトもあるので、トライすることを薦めたい。
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コメント
ほんとにLPガス価格は無茶苦茶ですよ。実家の家族二人が入院したので行きましたが、全く使ってないのに基本料が二千円も毎月引き落とされてるのにびっくりしました。都市ガスだったら745円ですよ。ばかばかしいので解約して電磁調理器を使うようにしました。
何もしないよりはましですが、経済産業省も動き出すのが遅すぎますね。
他にも料金が不透明な業界は沢山あるでしょうね。新聞料金ももっと下げられるはずです。新聞社が販売店に実際の販売部数以上に新聞を押し売りしてますから、これを止めれば安くなるはずです。販売店には一定期間ごとにトラックが来て大量の未読の新聞紙を積み込んでいきます。資源の無駄使いも甚だしい。
投稿: ハマッコー | 2017年2月25日 02:35
ハマッコー さん:
LP ガスはボンベ交換の手間がかかるので、人件費が上乗せされるのは理解できますが、それにしても無茶苦茶すぎですよね。
投稿: tak | 2017年2月25日 20:39
いきなりですが、君は昔こんな記事を書いていましたよね。
https://tak-shonai.cocolog-nifty.com/crack/2006/03/__51fb.html
完全に間違いですよ。
漢語で「失」は「うしなう/lost」以外に「それる/すべる/はずれる/miss」の意があり、対義語は「える/get」の「得」ではなく「あたる/hit」の「中」。
「失正鵠(正鵠をそれる)」の対義語は「得正鵠」ではなく「中正鵠(正鵠に中る)」。
事実漢籍に得正鵠の用例は一切なく(現代中国語の得正鵠は日本起源)、中正鵠の用例が散見される。
日本と中国で意味が違う漢字はたくさんある。
違う理由は、日本人が「この漢字の意味はこうに違いない!」と勝手に決めたから。
平家物語の扇の的で「撃つ/当たる/射抜く」をそれぞれ「放つ/射る/射切る」と言い分けている。
弓道では的に中ることを的中、外れることを失中と言う。
得るに当たる意味などない。
他にもツッコミ所が山ほどありますが……。
いいこと思いついた。お前、「スライム国のおへや 的を得る正当論を滅ぼすためのブログ」で検索しろ。
スライム国のおへや「三省堂国語辞典第7版で誤り撤回で決着」論への反論
http://surakokuheya.blog.fc2.com/blog-entry-3.html
スライム国のおへや的を得る正当論を滅ぼすためのテンプレ
http://surakokuheya.blog.fc2.com/blog-entry-2.html
投稿: スライム国 | 2017年2月25日 21:33
スライム国 さん:
例の記事は、「これ以上のコメントは不毛」 との判断のもとに、コメントの受付を打ち切ったのですが、別の記事へのコメントで蒸し返すという、ちょっとお行儀の悪い手があったんですね ^^;)
ただ、このコメントは例外的に削除せずに生かしておきます。
ハンドルがなかなかイケてるので。
投稿: tak | 2017年2月25日 21:41
この「スライム国」さんが日本語について説教するというのはなかなか味がありますね(笑)
投稿: 山辺響 | 2017年2月27日 15:41
山辺響 さん:
「説教」 ですか (^o^)
投稿: tak | 2017年2月27日 17:29