ネクタイを締めるとき、何で面倒な結び方をするのか
ネクタイなんて平均すると 1ヶ月に 1度もする機会がないのだが、たまにする時でも結び方は、一番単純で簡単なプレーン・ノットである。まるでパズルみたいに、やたら何度もぐるぐるやるウィンザー・ノットというのを大昔に教えてもらったけど、やったことないから、できたとしてもものすごく時間がかかるだろう。
ところが、周囲のネクタイ族の多くは、やたら面倒なウィンザー・ノットにこだわっているようにみえるのだ。だって、みんな結び目がやたら大きいもの。私は長い間、みんなどうしてそんな手のかかるやり方をするのだろうと、不思議でしょうがなかった。
よくわからないが、日本人特有の妙な職人気質が、無駄に面倒くさいやり方にこだわらせてしまうのかと思っていた。ところがどうも、すべてがそんなわけじゃないと、最近初めてわかったのである。
古くからの知り合いに聞いたところでは、彼は背が低いので、プレーン・ノットではネクタイが長すぎて、先端がベルト・バックルのはるか下まで垂れ下がってしまうのだそうだ。そこで、ウィンザー・ノットで無駄に何度もぐるぐる巻いて、ようやく締め終わった時にちょうどいい長さになるというのである。
なんだ、そうだったのか。私は身長が 178cm あって、日本人としては長身の部類に入るので、プレーン・ノットで苦もなくちょうどいい長さに収まる。しかしなるほど、小柄な人ならプレーン・ノットだと長すぎて、妙にぶらぶらしてしまうのかもしれない。そこまでは気付かなかった。要するに日本人がウィンザー・ノットが好きなのは、単に小柄だから、そうでもしないと収まりが付かないからだったのか。
そうなると、よく考えたら大抵のネクタイのサイズは、日本人には長すぎるということである。洋服にはサイズがあるのだから、ネクタイにだってサイズがあってもいいような気がするのだが、そんなのはあまり聞いたことがない。小柄な人は面倒くさい結び方で調節しろということのようなのだ。しかしそれだと、小柄な上に結び目がやたら大きくなって、もっさりして見えると思うがなあ。
S, M, L と、サイズ別のネクタイを売り出したら、もしかしたら売れるんじゃあるまいか。ただしネクタイの場合は small, medium, large じゃなくて、short, midium, long ということになる。いや、そもそもネクタイを好んで締めるような人は、どうやら面倒な締め方の方が好きみたいだから、サイズなんかあっても無視して、色柄優先で選んでしまうのかもしれないなあ。
【翌日 追記】
自分でも忘れていたが、3年前に 「ネクタイの締め方に関する偏見」 という記事を書いていて、その中で 次のように書いている。
乱暴な言い方かもしれないが、クルマを買う時にほとんど自動的に 4ドアセダンを選択するオッサンは、日頃ネクタイをする機会が多くて、しかも間違いなくウィンザーノットで結ぶとみて間違いないと思う。
ウィンザーノットでネクタイを締めるのが好きなオッサンたちは、4ドアセダンに乗り、何かの集まりの二次会では、スナックとかバーとかに繰り出しておねえちゃんとチークダンスに興じ、カラオケでは演歌を歌うのである。
うぅむ、確かに乱暴な言い方ではあるが、かなり当たってるんじゃないかなあ。
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コメント
私はここに載っている「セミウィンザーノット」で結んでいます。
でもこれがウィンザーノットだと思っていて、本来のウィンザーノットを簡略化した「セミ」だとは知りませんでした。
プレーンとセミの2つだけを知っていたってことです。
ただ私がセミにしている理由は、「結び目が左右対称になるから」ですね。
プレーンだと片側に寄った台形になるので、どうしても「崩した結び方」という印象を持ってしまうんです。
他の人がしているのはさほど気になりませんが、自分で結ぶときは「左右対称の三角形」を作りたくなっちゃいますね。
たったいま、正規の「ウィンザーノット」をやってみました。
これは、結び目が相当大きくなりますね。
ちょっと好みじゃないかな(笑)。
投稿: らむね | 2017年2月12日 10:19
らむね さん:
セミウィンザー・ノットは、確かに結び目が左右対称になりますね。
プレーンだと不等辺三角形になるんですが、私の場合は、「ま、いいじゃん!」 てことになってます (^o^)
投稿: tak | 2017年2月12日 11:45
あんな分厚いネクタイをウィンザーノット締めるなんてなんと鬱陶しいことか。ここ十年は葬儀以外はネクタイを締めたことがない。清々している。電車で帰宅途中の勤め人を見ているとまだネクタイを締めている。もうポケットに入れて楽にしたらと思う。余計なお世話だけど。
投稿: ハマッコー | 2017年2月12日 18:36
ハマッコー さん:
>電車で帰宅途中の勤め人を見ているとまだネクタイを締めている。もうポケットに入れて楽にしたらと思う。
私も、まさにそう思ってしまいます。本当に余計なお世話でしょうけどね。
投稿: tak | 2017年2月12日 22:18
ネクタイなんて数えるほどしかしたことのない私が言うのもなんですが(あんた仕事中も自転車の靴やしな)、背広+ネクタイなんて、冷涼な気候の欧州ならではの服装であって、今や亜熱帯と化した日本においては、社畜としての忠誠心を表す道具以外の何物でもないのでは(そら言い過ぎやろサラリーマンの人にあやまりぃな)
投稿: のうさぎマリコ | 2017年2月12日 23:27
のうさぎマリコ さん:
同感です。
とくに夏なんか、営業のおにいちゃんが開襟シャツに半ズボンで来訪しても、私は 「涼しげでいいねえ」 と言ってあげたいです。
逆に、ネクタイ閉めてスーツ着て、汗だくで真っ赤な顔して来られると、「あ、暑苦しい! 近寄らないで!」 と思っちゃいますから。
投稿: tak | 2017年2月13日 03:10
ネクタイの結び方は、シャツの襟型にあわせて変えるモノですよ。で、上着を着てネクタイをするならボタンは必ず閉じる。だから、私が一番好きなのはノーネクタイです。
投稿: Park Park | 2017年2月13日 13:44
Park Park さん:
>ネクタイの結び方は、シャツの襟型にあわせて変えるモノですよ。
ワイドスプレッドの時は結び目を大きくするとか、諸説ありますが、私はワイドスプレッドのシャツをもってないので、気が楽です。
>上着を着てネクタイをするならボタンは必ず閉じる。
諸説在りまして、座る時は 「ボタンは外す」 という人と、「外してもいい」 という人がいます。実際問題として座る時までボタンを締めていると、カタチが崩れちゃうので、私は立っている時だけ締めています。
>だから、私が一番好きなのはノーネクタイです。
いい落としどころだと思います。
投稿: tak | 2017年2月13日 23:50
3年前の記事にもコメントしたのですが、私は以前はプレーンノットでしたが、30過ぎくらいからセミウィンザーです。プレーンノットは、特に柔らかめの生地のネクタイの場合、結び目が小さくなりすぎるように思うので……。堅めの生地の場合はプレーンにするかと思うこともありますが、最近全然やっていないので上手くできない(^^;
のうさぎマリコさんの「背広+ネクタイなんて、冷涼な気候の欧州ならではの服装であって、今や亜熱帯と化した日本においては、社畜としての忠誠心を表す道具以外の何物でもない」は、半分同意で半分不同意(笑) 私にとってはネクタイは防寒具なので、11月~3月くらいまでは必需品です。逆に言えば、それ以外の季節は(亜熱帯なので)ほとんどの場合、しない(笑)
あと、男性の衣料品として、これほど色や柄が多様なものは他にないと思うので、こだわって選ぶ楽しさはありますね。匹敵するのはかりゆしウェアかサイクルジャージくらいじゃないかな。
投稿: 山辺響 | 2017年2月14日 10:51
山辺響 さん:
なるほど、冬場の防寒具ですか (^o^)
まあ、色柄が多様なのは確かにその通りで、先日は知り合いのオッサンが、ビックリするほど派手なネクタイと、若い兄ちゃんの履くような先のとがった靴を着用していたので、びっくりしました。
投稿: tak | 2017年2月14日 15:58