縦書き、横書き
emi さんが「縦書き」について書いておられる(参照)。東アジア系の友人たちへの取材の結果、「伝統を守りたがる日・台と、簡略化、合理化をよしとする中・韓で、考え方がきれいに分かれてるっぽい」という結論になったのだそうだ。
ふぅむ、なるほど。ただ、そこへ行くと私なんかは自分の中で「伝統派」と「合理派」の二極分化があるみたいな気がしていて、縦書き横書き問題を突き詰めると居心地の悪さを感じてしまうところがある。
私は普段は何の問題もなく、断然横書き派である。横書きの便利な点は、日本語も欧米語も数字も、問題なく混在させることができるという点だ。昔はいざ知らず、現代の日本語文にはこれらの混在が当然のようになっていて、それを縦書き表記しようとするとかなり面倒なことになる。
細かいことを言うと、日本語テキストで数字を全角で入力されると、数値の途中で改行されてしまうようなことがあり、とても読みにくい。だから私は、英数字は半角に統一すべきだと思っていて、そのためにも横書きは現代文には必須というようなところがある。
ただ、全面的に横書きオンリーでいいかというと、そうも言い切れない。例えば私は「和歌ログ」というサイトも持っていて、そこでは毎日のように和歌を詠んでいる。上手か下手かは別問題として。
で、この「和歌ログ」においては、できれば縦書きで運営したいという気があるのだが、それをやろうとするとかなり面倒なことになり、毎日のことなので対応しきれないという現実から、しかたなく横書きで表記している。それでも「和歌」と謳っている以上、内心忸怩たる思いは捨てきれないのだよね。
とかなんとか言っているくせに、時々は横書き表記を逆手にとって、旧仮名表記の和歌の中にアルファベットを混在させるなんていう無茶までやらかしている。伝統派なんだかアバンギャルドなんだか、わかったものじゃない。こんな具合だ。
"Crisp" といふ言葉ある彼の国のぱりりとしたる感触思ふ
現代の日本語においては、フツーのテキストなら横書きでいいと思う。いっそのこと、新聞なども横書きにしちゃうべきだと思っているほどだ。ただ、美学、芸術学的分野においては、そんなに簡単には割り切れない。
とくに書道などの分野では、草書体の横書きなんて存在し得ないのだから、縦書きは捨てられるはずがない。横書きですら右から書く方がいい。あれは横書きというより 1行に 1文字の縦書きなのである。
| 固定リンク
「言葉」カテゴリの記事
- セブンとセブイレ、さらにスカツリ、いたせり、絞り染め(2024.09.29)
- 親友を空港に置き去りにした "AITA"(あ痛!)な女性(2024.09.23)
- 画びょう、押しピン、プッシュピン・・・ 同じ物? 別物?(2024.09.03)
- 「異にする」を「いにする」と読んじゃうことについて(2024.09.01)
- 茨城の「いばらき/いばらぎ」より根源的な問題(2024.08.26)
コメント
庄内さん,はじめまして!
emiさんに教えて頂いてやってきました。
アルファベットと歴史的仮名遣いが混在した横書きの和歌!
面白いですね。口語体の小説が登場してから口語体の短歌が登場するまでに100年ぐらいかかったわけですから,横書きの短歌が公認されるまでやはり100年ぐらいかかるのか,それとも変化の激しいこの時代,もっと早く変化が起こるのか,どうなんだろう?と思ったりするわけですが,こちらで横書きの和歌を拝見して思うのは,意外と早く横書き和歌の世界に移行しちゃうかもしれないなということでした。面白いですもん。
「サラダ記念日」のような,衝撃的な短歌集,ぜひ出して下さい。
投稿: NONAJUN | 2017年3月 4日 07:27
NONAJUN さん:
私としては、和歌は原則縦書きで行きたいんですけどね。ただ、便宜上仕方なく始めた横書きを逆手に取ることがあるだけで。
「サラダ記念日」 には遠く及びません ^^;)
投稿: tak | 2017年3月 4日 15:32
私は縦書きの方がはるかに読み易いと思います。
横書きの文章を、縦書きに設定したWordへコピペして読むことも良くあります。
何故かはよくわかりませんが、単なる慣れの問題だけとも思えません。
投稿: McC | 2017年3月 4日 22:09
McC さん:
私は 「読みやすさ」 というのは、単に縦書きか横書きかだけではなく、フォント・サイズ、1行の字数、段落あたりの行数、行間設定などの結果だと思っています。
行間が狭く、改行も少ないテキストだと、縦書きでも 「なんとかしてくれ!」 と叫びたくなります。
投稿: tak | 2017年3月 4日 23:00