「ソンタク力」 の発揮どころ
3月 18日の記事に "今年の流行語大賞の有力候補に「忖度」というのが挙げられると思う" と書いたが、それ以後の様子を見ていて、この思いはますます強まった。今のところ断トツの最有力候補だろう。
世の中にはミーティングルームの壁に「忖度力」と大きく書かれた紙の貼られた会社もあるらしい(参照)。日本人は本当に「忖度」が好きなのだなあと感心していると、渦中の人物の一人、大阪の松井府知事は「忖度には、悪い忖度といい忖度がある」なんて言い出したらしい(参照)。こうなると、お笑いじみてくる。
まあ、フツーはいわゆる「配慮」ぐらいで十分なんじゃないかとも思う。ことさら「忖度」なんていうから、考えすぎてしまう。このまま行ったら、「配慮の度が過ぎたのが忖度」で、「事大主義の別名」なんてところまで零落しかねない。
「忖度 = ソンタク」 という言葉がここまでおかしくなってしまったのは、18日の記事でも書いたように、立場の上の者にばかり妙なソンタクをしてしまう風土がこの国にできてしまったからだ。上の者は部下に対して簡潔明瞭な指示を出すべきで、部下は妙なソンタクなんかせずに、それを粛々と実行すればいい。
そもそも立場が上の者が下の者に対して、「そんなこと俺に皆まで言わすほど、おめえも野暮じゃねえよな。わかってるよな、な?」ってなことになるのは、グレーゾーンの中でもかなり黒っぽい領域のことになるに決まってる。そんなことをソンタクさせるのは、ある種のパワハラだ。
その逆に、指示を出すとかいう権限のない立場の弱い者に対しては、権限のある者が声なき声を拾ってきちんと忖度すればいいのだ。今の世の中、それが逆になってしまっているから、今回のようなおかしなことになる。
繰り返すが、立場の弱い者に対してさりげなく発揮してこその 「忖度力」 だろうよ。「ソンタクの成るソンタクは誰もする成らぬソンタクするがソンタク」 という道歌もあることだし。…… ないか。
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コメント
上の者が下の者へ忖度(配慮)するのは、言われてみれば確かにその通りで、あまり気がつきませんでした。正論ですね。
投稿: esc | 2017年3月26日 13:49
へぇ~~、こう書いて「そんたく」って読むのね。常用漢字表にはない読みよね~。ぶっちゃけ、社員じゃなくなって幾年月、完全出来高制、仕事がないときゃ呼ばれません、な私にはピンときませんね~。そりゃクライアントにゃ気を使いますけどね。なんか終身雇用制の残滓って感じよね~。ま、御苦労さん、って感じ?(おいおい)
投稿: 個人事業主 野兎鞠子 | 2017年3月26日 22:35
esc さん:
まあ、正論というか、理想論みたいなものでしょうかね。
投稿: tak | 2017年3月27日 01:53
個人事業主 野兎鞠子 さん:
個人事業主は、粛々と仕事してさえいれば、好んでソンタクする必要もないかもしれませんね。
投稿: tak | 2017年3月27日 01:55