「中学英語で十分」 は、文法に関しては本当に本当だと思う
日経ビジネスに "「中学英語で十分」 は本当だった" という記事がある。書いているのは池田和弘さんという人で、大阪観光大学国際交流学部准教授だそうだ。
私が中学生だったのは半世紀も前のことで、今の英語教育がどうなっているのか知らないが、本職の方がそう言うのだから本当なのだろう。そしてそれは、私が高校英語の授業で感じたこととほとんど同じである。
この記事では「中学英語で高校文法は完全にカバーできます」とされている。これはまさに実感で、私も高校の英文法教科書の内容は、「こんなの全部知ってることじゃん!」と思っていた。「こんな当たり前のことを今さら繰り返すより、もっと役に立つことがあるだろうに」と、かなり馬鹿馬鹿しく思っていたほどである。
本当に、英文法なんていうのは中学レベルで十分だ。そりゃ、難しいことを掘り下げればいくらでも難しくできるが、日本人がとりあえず「使える英語」を身につけるというレベルを求めるというなら、これは本当に本当だ。
もちろん文法だけじゃ英語は使えないから、高校に入ったら単語と英語独特のうまい言い回しを沢山覚えればいい。そうすれば、いきなり米国に出張に行くことになってもちゃんと役に立つ。留学経験があるわけでも、大学の英文科で学んだわけでもないこの私がそうだったんだから、まず間違いない。日本の高校では既に知っているはずの文法をこむずかしく繰り返すから、英語嫌いが増えるんじゃないかとさえ思う。
高校の授業では文法の繰り返しに無駄な時間を割くよりも、とにかく英文を読み込むことと、リスニングに慣れることを重視してくれれば、日本人の英語アレルギーもかなり減るだろうにと思う。今どきは学校の授業でネイティブ・スピーカーのしゃべる英語の録音を流すことぐらい、たやすくできるだろうに、それをやらないのは、学校の教師の発音のまずさがバレバレになってしまうからに違いないと思っている。
そんなわけで、学校でまともなリスニングを学べないから、「スピードラーニング」なんていうイージーな商売がもてはやされる。
余談だが、最近このスピードラーニングのラジオ CM を聞いていて、たまげてしまったことがある。男性が「ご紹介はシライ(白井?)さんです」と言うと、女性の声が 「は〜い、シライシ(白石?)です!」と続くのである。あまりの違和感に、Twitter で「何の仕掛けなん?」と tweet している人もいるほどだ(参照)。
これ、どうやら男性の方の口跡がおそろしく悪いというだけのことのようだが、それがノーチェックで放送電波に乗っかってしまうというのがちょっとコワい。こんなにも発音に無頓着な企業がリスニング教材を扱ってるなんて、「スピードラーニング、大丈夫なのか?」と言いたくなってしまうよね。
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