チャック・ベリーが死んだ
チャック・ベリーが死んだ。90歳だったという。ずいぶん長生きしたものだ。ジョン・レノンもジョージ・ハリスンもとっくに死んでいるのに、チャック・ベリーが生きていたとは、死んだというニュースが流れるまで意識していなかった。というわけで今、改めて彼のベストアルバムを聴いている。
私はチャック・ベリーをリアルタイムで聞いていたわけじゃない。彼のデビュー曲とされている "Maybellene" が出たのは 1955年で、私はその時まだ 3歳だった。この年に日本で大ヒットした春日八郎の『別れの一本杉』や、菅原都々子の『月がとっても青いから』なんかでも、後になって懐メロとして半ば冗談みたいに知ったのだもの、チャック・ベリーなんて知るわけない。
私がチャック・ベリーを意識したのは、完全にビートルズを通じてである。ビートルズなら、私は完全にリアルタイムで聞いていたのだよ。彼らのデビュー曲は 1962年の "Love Me Do" だが、日本で本格的に話題になったのは翌年の 1963年頃からだったと思う。私は小学校 5年生だったが、「歌謡曲なんかより、ずっとカッコいいぜ!」と、一発で夢中になった。ちょっとマセていたのかもしれない。
蛇足だが、私はビートルズとボブ・ディランを歌いたいがために、英語をしっかりと勉強したのだった。当時は 「不良の音楽」 扱いされていたが、後になってこの英語で仕事ができたのだから、ずいぶん役に立ったのである。
このビートルズが、初期には案外チャック・ベリーの曲をレコーディングしていたのだ。当時の私は "Roll Over Beethoven" や "Rock'n Roll Music" なんかはビートルズのオリジナルだとばかり思っていたが、「伝説のロックンローラーの曲をビートルズがカバーしてるんだ」と聞かされ、初めてチャック・ベリーという偉大なる存在を意識した。
「そう言えば、あの ”Johnny B. Goode" というご機嫌な曲も、このチャック・ベリーというおっさんの曲だったのか! すげぇや!」 ってなもんである。有名な 「ダック・ウォーク」 を初めて動画で見たのは、中学校に入ってからだったと思う。昔は今みたいに情報があっという間に入ってくるわけじゃなかったのだ。
で、当時の私はこのダック・ウォークを真似したなあ。若い頃のチャック・ベリーぐらいにぐっと腰を落としてやるのは、結構足腰が強くないとできないのだよ。彼が長生きしたのは、ダック・ウォークで鍛えたからかもしれない。うん、きっとそうだ。そうに違いない。
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コメント
「なるほど!」ボタン激しく連打!(笑)「ロックンロールの父」チャック・ベリーが「子どもたち」よりずっと長命であったのは、ダック・ウォークにあったとは!
いやしかしこのさい、民衆は今一度、チャック・ベリーを見直すべきなのではないでしょうか!複雑になりすぎた現代において、彼のようなシンプルで強い生き方こそが一番大事なのではないでしょうか!(と机を拳で叩き、机上の飲料水が倒れ、水浸しになる(笑))
投稿: 萩原ミズネッティーニ | 2017年3月19日 23:29
萩原ミズネッティーニ さん:
確かに、チャック・ベリーはシンプルですよね。
「何を聞いても同じ」感覚がいいです (^o^)
投稿: tak | 2017年3月20日 19:30