「缶チューハイ」の「どーでもいい」ほどの自由度
昨日、運転しながらカーラジオを聞いていたら、「缶チューハイの 『氷結』 って、ベースはウォッカなんですよ」と言っていた。「なぬ? 『チューハイ』というから焼酎ベースと思っていたのに、そうじゃなかったのか」 と、一瞬驚いた。
そもそもこの商品、今世紀初めの発売当初は「氷結果汁」と称していたのだが、「制度上、『果汁』というのは 100%果汁でなければならない」というクレームで、「果汁」を取って「氷結」という名称に落ち着いたという、結構安易な経緯がある。そしてさらに、実はウォッカ・ベースだったというトリックスターぶりだ。
そう言えば、商品パッケージには「缶チューハイ」なんて表示は見当たらない。くまなく探せばどこかに書いてあるのかもしれないが、少なくとも目立ったところにはない。ウォッカ・ベースとしたことに関する開発ストーリーは、Wikipedia の「氷結(チューハイ)」の項に詳しく載っているので、敢えてここでは繰り返さない。
ただ、新しい知識として、「酎ハイ」または「チューハイ」と称する商品カテゴリーは、制度上は存在しないということを知った。だから、焼酎を使わない「チューハイ」が存在しても、法律的にはまったく問題がないらしい。ふぅん、ずいぶん紛らわしいご都合主義だけど、酒飲みはそんなことにはこだわらないのかね。
一方、宝の「焼酎ハイボール」の方は、焼酎専門メーカーだけに焼酎ベースとなっているらしいが、Excite Bit の記事には、宝酒造への取材で得られたコメントとして、次のような記載がある (参照)。
「商品によって焼酎にする前の高濃度アルコールを使う場合もあって、その場合表示が変わることはありますが、基本的には同じアルコールを使用していることになります」(宝酒造広報)
ここでも、「へえ!」である。なるほど、そういえば焼酎には「甲類/乙類」の区別があって、乙類というのは原料がイモとか麦とかはっきりさせているみたいだが、甲類はそういうのじゃなくて、単に「高純度のアルコール」ということらしい。要するに、化学物質のアルコールそのものってわけね。
というわけで、「酎ハイ」または「チューハイ」というのは、単なる俗世間の言い習わしに過ぎないのだとわかった。要するに「どーでもいい」というか、よく言えば「自由度がものすごく高い」カテゴリーなわけね。
てことは、商品開発の自由度もめちゃくちゃ高いということになる。ウォッカとトマトジュースで、「ちょっとプシュッとした感じがあるんだから、チューハイであって、決してブラッディマリーじゃないよ」と言い張ることもできそうだと思い、念のためちょっと調べたら、既に『サッポロ 極 ZERO CHU-HI ゴクハイ9』というのがあるのね。油断も隙もありゃしない。
まあ、こっちは最近酒をほとんど飲まないから、まさに「どーでもいい」んだけど。それにしても、このブログを始めた頃は酒飲みながら書いていたんだから、人間変われば変わるものである。
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コメント
まあ「広義のカクテル」といふことで選択肢が多いのはいいんぢやなひですかね。「なにこれかわいー」「おいしそー」「これよくね?」などと少々おつむの足りなゐおねいちやん(おいおい)がわいわい云いながら買つてくれさうですし。
私は食事しながら飲むので、妙な果物の味がするものは御免こうむりたいです。やつぱり清酒が一番ですよ。(この偏屈親父め)
投稿: 萩原千間 | 2017年4月 7日 23:33
萩原千間 さん:
「やつぱり清酒が一番」 に賛成。とくに純米吟醸が好きです。
(「大吟醸」は「フルーティ・フレーバー」ってのががわざとらしすぎて、個人的には「吟醸」の方が好きです。高すぎないし)
ただし、ラベルの表示を信じすぎないようにしています。(下のリンクの記事参照)
https://tak-shonai.cocolog-nifty.com/crack/2013/02/post-63c5.html
ちなみにその前日の記事をみると、出張先のホテルで缶チューハイを飲むという時期が、ほんの短期間あったようです (シュワッというのがよかったのかなあ) が、それほど好きってわけじゃなくて、飲み忘れてそのまま寝るというパターンが多かったと思い出しました。
投稿: tak | 2017年4月 8日 11:09
いやあ、tak先生のやうに米処・酒処御出身の方と違い、私は只の「下町の下衆親父」ですからね。呑めればゐゐんです(笑)。それに、旨い酒を知つてしまつたら、安酒が呑めなくなるので困ります。(笑)
投稿: 萩原千間 | 2017年4月 8日 21:32
萩原千間 さん:
最近はとみに量飲まなくなったので、うまい酒を飲みたいと思うようになりました。
投稿: tak | 2017年4月 9日 23:11