指導要領での 「銃剣道」 の扱い
先月末に公示された小中学校の新しい学習指導要領で、中学校で教える武道の例に「銃剣道」が加わったことで騒々しい議論になっている。あくまで一般的な話としては、「銃剣道」というのは競技を前提とした「武道」であり、実践を想定した「銃剣術」とは一線を画す。
中学校で「銃剣道」を教えるのに反対する人の中には、いかにも子供たちに「戦争での殺し合い」を教えるもののように言っている人もいるが、それは明らかに正しくない。「剣道」が刀による斬り合いを教えるのではないのと同様である。
武道、格闘技大好きな私としては、ビデオで銃剣道を眺めると、正直言って「おもしろそうだな」と思ってしまう。還暦を過ぎて新たに習い始めようという気にはならないが、若い頃に身近にいい指導者がいたら、習っていたかもしれない。
ただ、現実的には銃剣道の指導者の数はものすごく限られているだろうから、いくら指導要領に載ったとしても、現場で採用されることは極々少なく、影響はなきに等しいとみて間違いない。実際に銃剣道の指導ができるのは、自衛隊出身者ぐらいのものだろうと思う。
ただ、今回ことさらに指導要領に載ったのは、将来的に自衛隊出身者の仕事が確保されるかも知れないというのが、実は大きいんじゃないかと思う。自衛隊で学んだ銃剣道が世間に受け入れられれば、学校での指導者として雇ってもらえるかもしれないし、うまく行けば町道場なんかも開けるかもしれない。
その意味で、今回の指導要領改定は自衛隊の声なき声を「ソンタク」したものなんじゃないかとも思われる。文科省は「あくまで表記に加えただけで、授業で必ず銃剣道をしなくてはいけないものではない」としているが、いずれにしても安倍政権は「ソンタク好き」な上に、ずいぶん自衛隊フレンドリーな印象を受ける。
かくいう私も、自衛隊に友人や知り合いが結構いて、はっきり言って警察よりは自衛隊の方が好きだったりするのだが。安倍政権の政策には毎度のごとく「そりゃ、違うだろ」と言いたくなってしまうのだよね。
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- マイナ免許証の具体的な話がやっとわかった(2025.03.23)
- 席を譲るのを「恥ずかしがる」という妙な免罪符(2025.03.11)
- 「ねるねるねるね」というモノのミステリー(2025.03.05)
- 戦前のカレンダーからわかってくること(2025.03.04)
- 新幹線に 2人席と 3人席があるって、そんなに便利か?(2025.02.19)
コメント
「銃剣道」!かっこいいですね!
こどもの頃に選択科目だったら絶対取ってました。
どうでもいいですか、「銃剣道」と「截拳道」は響きが似てますね!
(◎´∀`)ノ
投稿: ひろゆき王子 | 2017年4月11日 22:14
ひろゆき王子 さん;
銃剣道、かっこいいかもしれませんが、お金はかかりますよ (^o^)
柔道と空手は道着だけで済むので、安上がりです。合気道は袴の分、出費です ^^;)
投稿: tak | 2017年4月12日 01:06
自民党のヒゲの隊長が推進したようですね。やはり自衛隊に対する「ソンタク」があったのかもしれません。
自衛隊では銃剣術をやる隊員はそのセットを30万位で自腹で買わされるようです。銃剣術の上位入賞者は昇進が速いのだとか。
競技人口は3000人で9割が自衛隊員のようです。当分、「市場」は広がらないですね。
投稿: ハマッコー | 2017年4月12日 01:45
ハマッコー さん:
30万円もするんですか!
よほど思い入れがないと始められませんね。
投稿: tak | 2017年4月12日 11:14