「浅田真央現象」についての考察
昨日の昼過ぎに電話で話した仕事関係の友人が、「今、テレビ見てるんだけどさあ、スゴいよ!どのチャンネルも浅田真央引退の話ばっかりで、異様だよ!」と言っていたので、「どれどれ」とスイッチを入れてみると、まさに彼の言った通りだった。ほとんどすべてのチャンネルが 「真央ちゃん、感動をありがとう!」で染め上げられ、しかもそれが延々と続いている。
そして毎日新聞の夕刊トップまで大きな写真入りの 「浅田真央 引退会見」で、異様度をさらに高めている。
誤解のないように言っておくが、私は浅田真央が嫌いでもなんでもない。だから彼女のファンが引退を惜しむことを揶揄するつもりもない。ただ、テレビの(地上波に限るが)ほとんどすべてのチャンネルのニュースショーが「真央ちゃん、感動をありがとう」の大合唱になることに、ちょっとした違和感を覚えたのだ。
考えてみれば、日本人のほとんどすべてが浅田真央の大ファンで、彼女の演技に心底魅了され、引退を心の底から惜しんでいるというわけじゃなかろう。だからテレビのどのチャンネルも延々と浅田真央特集みたいな状態になっていることに関して、「他に話題はないのかよ!」と不満を覚えた視聴者も少なくないはずだ。
しかし実際はあの通り、どのチャンネルも延々と「真央ちゃん、感動をありがとう!」なのである。なんでああなるのかを考えてみると、昼からテレビを見たがる層の多くが、あれを見たい人たちだからなんだろう。そうとしか思えない。
それに「真央ちゃん、ありがとう!」をやらないテレビ局には、「なんでお前んとこは、真央ちゃんを大きく取り上げないんだ!」と了見違いの抗議電話を寄こすやつもいるんだろう。うん、きっといる。いないはずがない。
人間という生き物の多くは、「皆と同じことで感動したい」という欲求を多かれ少なかれ持っているんだと思う。感動の対象なんて実は何でもいいのだが、できれば誰もが知っていて、反感を覚える人がとても少なくて、ちょっとだけ悲劇的要素のスパイスが加わっているというのが望ましい。今回の浅田真央引退は、その意味でも「感動の共有」に最高の素材だった。
というわけで浅田真央ちゃんには全然興味ないけど、テレビを見るのは大好きという極めて少数派の人にとっては、昨日のテレビはとても不満の大きなもので、さぞかし苦行を強いられたのだろうと思う。ご苦労様でした。
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コメント
TAKさんの記事について殆ど全て賛同して日々拍手しているのですが、浅田真央の魅力にハマッておられないのは、ちょっとお気の毒でございます。。
投稿: fabe | 2017年4月13日 12:14
fabe さん:
真央ちゃん、素敵な子だとは思いますが、素敵と思った対象すべてにハマってしまうわけにいかないので、自分なりの優先順位に沿ってしまいます。
その意味では、人生は短いですよね ^^;)
投稿: tak | 2017年4月13日 13:12
成る程、「シイズン中の野球中継」みたひな状態なんで御座いますね。私は電気映像箱を捨てちまつたので、そんな騒ぎとは無関係で快適です。
処で、浅田さんは此れからどう為さるんですかね。もしテレビヂヨンで活躍するのなら、私もまた電気映像箱を買おふかなとも思ふのです(あんたもフアンかよ!!)
投稿: 萩原千間 | 2017年4月13日 13:46
萩原千間 さん:
真央ちゃん、好かれてるんですねぇ!
投稿: tak | 2017年4月14日 16:10