将来の「夢」を語ったことがない
よく「夢を語れ」とか言うが、私はそれについて一度もピンときたことがない。「青春時代に、友と夢を語り合った」などと思い出話をする人もいるが、私にはそんな経験がない。
実感としては、「夢を語るほど暇じゃなかった」というのが本音だ。若い頃からいろいろな文化活動に関わったりしていて、とにかく目の前にある「おもしろいこと」に取り組むのに没頭していた。先のことまで考える暇なんてなかったのである。
「その関わっていた分野を、自分の『夢』とはしなかったのか?」と聞かれることもあるが、「そんなことを『夢』としていいなんて思わなかった」と言うしかない。熱しやすく冷めやすかったのである。一時的に夢中になっても、それに人生賭けるというほどの発想はなかった。もっと夢中になれるものが出てきたら、いつでも乗り換えるつもりでいた。
それに、何しろ情報不足だったのである。人生を賭けてもいいと思えるものを探してはいたような気がするが、いつも見つからなかった。なにしろ高度経済成長期だったので、世の中がどんどん変わる。そのどんどん変わる世の中をキャッチアップするだけの情報基盤が、その当時はなかった。
田舎育ちの若造には、何もわかっていなかった。何もわからないで「夢」を語るほどの無鉄砲でもなかったのである。だから、「今」しか見ていなかった。とにかく目の前に現れたものに取り組むだけで精一杯だった。そのままずっと、目の前のものとじゃれ合い、取っ組み合いしながら、還暦を過ぎてしまった。
そしてここまで来ると、過ぎ去ったすべてが「夢」のような気がするのである。私にとって、「夢」は未来に置いて語るものではなく、過去として振り返るもののようなのだ。そして今でも、目の前のものとガチンコで取り組みっぱなしでいるというのが、我ながらおもしろい。
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- くるまったまま腕を出してスマホを眺められる毛布(2024.10.06)
- 「カフェでお仕事」・・・ ムチャクチャな長居は禁物(2024.09.26)
- 乗務員の水分補給にクレームを入れるやつ(2024.09.21)
- エアコンって、もはや「必需品」なのだね(2024.09.05)
- 日本人の「酒離れ」を、ちょっとだけ深読み(2024.08.28)
コメント
最後の段落で、「夢」というものの見方をガラっと
変えさせるなんて、さすが tak さん。
鮮やかなもんです。映画のラストシーンのようでした。
さて、確かに「夢はなんですか」なんて聞かれても、
昔から答えようがなかったんですよねぇ。
しいていえば「みんながもうちょっと幸せな気分に
なってくれればいいなぁ」程度で。
tak さんと違って私はヒマな若者でしたけどねぇ。
どうやら夢を見ないヒマ人だったみたいです。
投稿: るー | 2017年4月24日 19:00
るー さん:
最後の件は、そこまでの意図はなかったので、ちょっと買いかぶりですけどね ^^;)
「夢は何ですか?」 と聞かれても答えようがないのは、案外一般的なことかもしれませんね。
投稿: tak | 2017年4月25日 00:28