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2017年5月12日

笠置シヅ子の偉大さ

今年の夏の盛りにはなんと 65歳になってしまう私だが、あの伝説のブギの女王、笠置シヅ子の歌う姿は一度も見たことがなかった。時折ラジオで聞くだけで、画像情報は一切入ってこなかった。

170512

それもそのはず、彼女が歌手生活をスタートしたのは戦前のことで、あの『東京ブギウギ』のヒットは終戦直後。そして 1957年(私が 5歳の時)には歌をやめてしまっていた。黒澤明の映画『酔いどれ天使』に『ジャングルブギ』を歌う姿があるらしいが、私の生まれる 4年も前の作品だし、残念ながらまだ見ていない(参照)。

私は子どもの頃から、ラジオで笠置シヅ子の歌を聴く度に心躍らせ、「スゴい歌手がいたものだなあ」と思っていた。とくに『買い物ブギー』は圧巻である。生まれるのが遅すぎて笠置シヅ子を知らない人は、下の画像をクリックして、YouTube で聞いてみるといい。

私はこの歌の 2番目、「たまの日曜サンデーと云うのに 何が因果と云うものか」のところ、「たまの日曜サンデと云うのに」と歌うところが、またたまらなく好きだ。いいよねえ!

そしてこのほど何と、笠置シヅ子の動画を発見した。アップロードされたのはもう 9年も前のことのようで、どうして今まで気付かなかったのか、悔しくてたまらないが、一生知らずに死んでしまうよりはずっとよかった。

画質は決してよくないが、戦前は踊りが激しすぎるために「敵性文化」として官憲に睨まれたという彼女の、実際に歌い踊る姿を見ることができて、私は幸せというものである。終戦直後とは思われないほどの見事な、そして時には身も蓋もないほどダイナミックな、圧巻の身のこなしだ。ちなみにバンドの指揮を執っているのは、作曲者の服部良一自身だと思う。

痛恨なのは客席のハンドクラッピング(手拍子)が見事に「アタマ打ち」(1拍目と 3拍目で打ってる)ということだが、まあ、これは時代的にしょうがないか。

ついでだから告白してしまうが、このブギの女王と、1980年代の「カネヨンのおばちゃん」とは、全然結びついていなかったのである。いや本当に、同じ名前の別人と思っていたよ。あの頃の私は、テレビというものをほとんど見ていなかったしね。(今もあまり見てないけど)

かなり後になって、『東京ブギウギ』の笠置シヅ子と「カネヨンのおばちゃん」とは同一人物であると知り、かなりショックを受けた。しかし立ち直るまでにそれほどの時間はかからなかった。むしろそれを知ることによって、私の中での笠置シヅ子の存在感はますます高められたのであった。

ところで、「笠置シズ子」 の表記が 「笠置シヅ子」 に変わったのは、いつ頃のことだったんだろうなあ。その辺りからして、戦後のドサクサを感じさせ興味深い。ちなみに上記の『買い物ブギー』のレコード・ラベルは「笠置シズ子」の表記になっている。

【2023年 10月 4日 追記】

NHK の朝ドラで笠置シヅ子をモデルとしたヒロインの登場する『ブギウギ』が始まった途端、これまであまり目立っていなかったこの記事に急にアクセスが集中して驚いている。

この「異常事態」(?)を受けて、本日付で「笠置シヅ子の偉大さ その 2: 『ブギウギ』を通じて」という記事を書いたので、合わせてお読み頂ければ幸いだ。

 

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