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2017年6月19日

クマよけの音

タケノコ採りなどで山に入った人が、クマに襲われる事故が相次いでいる。昔は腰に鈴をぶら下げたり、ラジオを鳴らしっ放しにしていればクマは近付いてこないと言われていたが、最近ではクマの方もそうした音に耐性がついて、恐れなくなってしまったようなのだ。

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5月下旬にクマに襲われて死亡した秋田県の女性は、鈴を 2個ぶら下げていたというが、効き目がなかった。6月 2日付の毎日新聞は、「そもそも鈴の音が聞こえる範囲には限りがある」、「山菜を採るためしゃがんでいれば鳴らない」と、鈴への過信に警鐘を鳴らす。

さらにラジオの音についても、「近年はクマが車のエンジン音など人工音を聞く機会が増えている」ために、音への警戒心が薄れており、「音を聞いたクマが、餌となる物があると考え、おびき寄せられている可能性がある」とさえ言われる。やつらも生き物だから、学んで慣れるのだ。

私は昔、クマのいる山をよく単独行した。クマがいるような山だからこそ、歩いて自然との一体感を感じ、いい気持ちになれる。そんな自然の中で、いくらクマよけとはいえ、人工的な音を出すのは気が引ける。しかしそうした大自然の中だからこそ、クマとの余計な軋轢を避けるために、敢えてぶち壊しのような音を鳴らさなければならないと考えていた。

私はその頃から、クマよけの鈴なんてあまり信じていなかった。あんなのは音が心地良すぎる、人にとって心地良いのだから、クマだってある程度慣れてしまえば、恐れなくなるだろう。同様に、東北の山の中でも受信できる NHK の番組は、牧歌的すぎてクマが恐れない。ギンギンのパンクロックでも流してくれれば別だが。

私は大自然の中を単独行する時、腰にシエラカップをぶら下げて、時々思いっきり叩いてガシャガシャという金属音を立てていた。そんな音を突然聞いたら、人間だって驚いて身じろぎする。クマに驚いてもらうためには、そのくらいの音でなければならないだろう。

幸か不幸か、私は山歩きをしていてクマに出会ったことがない。よほどの幸運でなければ、自然の中でクマを目撃するなんてことはできないと思っていたが、最近はそんな呑気な話でもなくなっているようなのだ。お互いのためにも、いきなりクマと出くわすなんて事態は避けた方がいい。

自然との調和を乱さないような慎ましい音では、クマよけにならない。思いっきりぶちこわしの不快音でなければならないのだ。余計なトラブルを避けるために、こればかりは仕方がない。のべつ幕なしに鳴らすわけじゃないから、勘弁してもらおう。

 

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コメント

takさん、熊は音を恐れなくなったのではなくて、人を恐れなくなったのですよ。
そこのところを皆さん勘違いしているのじゃないかと、常々思っています。
餌となる物・・・って、何のことはない、それは人ってことでしょう。
あと、自分のテリトリーに侵入する者は、誰であれ攻撃しますよ。
人だからと言って恐れる必要がないとなれば、躊躇はありません。
事故は、すべて人間の勝手な勘違いが元で起こっていると思っています。

投稿: Mikio | 2017年6月20日 21:32

Mikio さん:

要するに、クマが人に慣れてしまったのですね。なるほど。

普段は「あいつらと余計な軋轢を起こすのはやめとこう」と思っていても、いざとなれば、襲うに躊躇しないと。

投稿: tak | 2017年6月21日 13:03

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