「4K 有機 EL ビエラ」 って、70万円もするらしい
パナソニックが、「ビエラ史上最高峰の漆黒と色再現性を実現した」という「4K 有機 EL ビエラ」の出荷を開始したという(参照)。
「それ、何すか?」 と思ったら、テレビなんだそうだ。価格.com で値段を調べたら、大きさにもよるが、Y418,800 から ¥761.000 もしている。私は 10万円でも要らんな。7〜8年前に妻と娘が選んだ我が家の液晶テレビでも、トゥーマッチと思っているぐらいだから。
昔のテレビの画面を見ると、その解像度の低さに驚く。しかし今の時代の高解像度画面を見慣れたからこそ、昔のテレビの性能の悪さがわかるのであって、昔は別に不満を感じることもなく見ていた。テレビの画面なんてどうせバーチャルなのだから、人間の肉眼が識別できる以上の解像度をもってこられても、「それがどうした?」というようなものだと思う。
今はテレビ画面の再現性追求が話題だが、昔は「オーディオマニア」というのがいて(今でもいるのだろうが)、音響装置にやたら金をかけていた。知り合いのオーディオマニアが「ウチのステレオを聴かせてやる」と無理矢理誘うので訪問したら、レコード棚にあったのは、BGM に使われるようなイージー・リスニングと歌謡曲ばっかりだったということがある。
正直なところ「大枚はたいて聞くような音楽かなあ」と思ったわけだが、要するに彼は、「音楽」より「音」が好きという種族なんだろうね。テレビにしても、フツーの娯楽番組を見るぐらいで 70万円もかける意味があるのかなあという気がする。
あるいは高解像度テレビ向けの特別放送みたいな企画がどんどん登場するのかもしれない。しかしそういうのって、とくに初期の企画であればあるほど、即物的に迫力ある画像が連続して現れるだけで、「それがどうした?」になってしまいそうな気がする。想像するだに疲れそうだ。
私は音楽を聴くにしても、iPhone とごくフツーのイヤフォンを使って十分満足している。慎ましい音を聞きながらでも、脳内ではオリジナルの素晴らしい音に変換されている。要は、時々ちゃんとしたナマの音楽を聴くことで、想像力を鍛えればいいのだ。
テレビにしても、今あるフツーの液晶テレビで何の不満もない。ナマの素晴らしい景色に接していれば、ごくフツーのテレビでみる景色も脳内変換でしっかり味わえる。要はちゃんとしたナマの経験を持っているかどうかなんじゃないかなあ。ちゃんとした山登りの経験があれば、小さな写真を見るだけで追体験できる。
私の好きな小津安二郎の映画を見るのに、有機 EL の 4K 液晶なんか使ってもしょうがないと思うし。
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コメント
特にオーディオマニアのあたり、同感です……。安いオーディオと上等なオーディオでは音が違うんだよ、という言い方をされても、「それ以前に、同じ機材を使ってもあなたと私では聴いている音が違うのでは」という気がしますし。
投稿: 山辺響 | 2017年6月30日 15:56
山辺響 さん:
大昔のシャリシャリ・ノイズがたっぷりのレコードで、大感動してしまうことがあります。
最近のまあ、とくに特定はしませんが、「あのへん」 の歌を最高級オーディオで聞くよりずっといいですね。
「いい音」 と 「いい音楽」 は別の次元のお話です。
映像も似たようなところがあります。大昔のあめふり画面の映画が素晴らしかったり。
投稿: tak | 2017年6月30日 18:42
最新の有機ELテレビと液晶テレビが並べて展示されています。確かに有機ELテレビは画像が綺麗ですが、従来の液晶テレビでも充分綺麗ですね。液晶なら50型でも今では10万ちょっとで買えます。ドン・キホーテではそれが54800円で売られていたそうです。有機ELテレビに50万以上もかける理由はなさそうです。
私はJAZZの生演奏をよく聴きにいくので、AM放送の音楽でも充分楽しめます。正に脳内で生の音に変換されますね。最新の携帯音楽プレーヤーはハイレゾなどと言って7万位から30万を越えるのもあるようですが、従来のものとの差はごく僅かです。比較すると確かにいい音ですがそれがどうしたというレヴェルのものです。
一部の”音”が好きな人にはその差がたまらないのでしょうが、ミニコンポ派の私には無縁のものです。
LPレコードのシャリシャリノイズは脳内で消されるので全く苦になりません。
投稿: ハマッコー | 2017年6月30日 21:39
ハマッコー さん:
どうやら "「リアル」 をきちんと体験していれば、「バーチャル」 でも脳内変換して楽しめる" という構造があるみたいですね。
バーチャルしか知らないと、「仮想の完成度」 のみ求めてしまうというか。
投稿: tak | 2017年7月 1日 00:06
人によって価値観って違うからなんとも言えないわよね~。出不精だったり足が悪かったりして旅行とかはあんまり行かない(行けない)けど、テレビで紀行ものとか見て旅気分を味わいたい人もいるだろうし、映画館が近くにないけど映画が好きな人のホームシアターと考えると安い気もするし、自転車でもたまにしか乗らないけど高額なロードバイクとか買う人いるもんね。
まぁ内需拡大ってことでお金を使うことはいいんじゃね?あたしは貧乏だからケチケチ生活だけど。
投稿: 貧乏人野兎鞠子 | 2017年7月 2日 01:04
貧乏人野兎鞠子 さん:
>自転車でもたまにしか乗らないけど高額なロードバイクとか買う人いるもんね。
なるほど、人それぞれではありますね。確かに (^o^)
投稿: tak | 2017年7月 2日 19:33
そういえば思い出しました。
去年、私の唄三線の師匠がハイレゾ・レコーディング(?)でアルバムを出したのですが(当然ながらCDの容量には収まらないデータ量のため、ダウンロード販売)、弟子どもにとっては、ありがたさがよく分からず……。
確かに「すぐそこで師匠が歌っているようではある」とは思うのですが、ふだんから「すぐそこで師匠が歌っている」状況に慣れているので、それに比べて音がいいわけもなく。
それどころか、稽古のときにちょっとしたICレコーダーで録音したものでも十分じゃないかと思うのは、さすがに耳が上等でないのかもしれませんが(笑)
投稿: 山辺響 | 2017年7月 3日 17:46
山辺響 さん:
>稽古のときにちょっとしたICレコーダーで録音したものでも十分じゃないかと思うのは、
その気分、よくわかります。
聞く専門じゃなくて、自分でも演奏する立場だと、「音」 を聞いてるんじゃなくて、「演奏の方法論」 を聞き取ってるんですよね。
投稿: tak | 2017年7月 3日 21:22