原子力規制委員長の 「毒のある冗談」
原子力規制委員会の田中俊一委員長「ミサイルを原発に落とすより東京の方が」 という発言(参照) について、一部では沸き返っているが、この現象についてはちょっといろいろ考えてみる必要がある。言葉尻を捉えて騒ぐより、中身をちゃんと読んでみなければならない。
高浜町民約 30人との質疑応答でのコトの次第をみれば、次のようになるらしい。
- 町民に 「ミサイル攻撃への対策は」 と質問された
- 田中氏は 「原子力規制の範囲を超える」としつつ、「(敷地内での)大型航空機落下についての対策があり、相当の対応はできる」と説明。
- その上で、「小さな原子炉にミサイルを落とす精度があるかどうかよく分からない。私だったら東京都のど真ん中に落としたほうがよっぽどいいと思う」と述べた。
- その後、報道陣に「不適切では」と問われ、「例えが不適切でないかといえば、不適切だった」などと釈明した。
この 3番目の部分は、常識的には「口がすべった上での余計なコメント」に他ならないが、そのココロはといえば、「北朝鮮としても、当たるかどうかわからない原発を狙うよりは、的の大きな東京などの都市を狙うに決まってる」ということなのだろう。多分彼は、仲間内ではそんな類いの話をしていたんだろうと思う。
「的が小さくて当てにくい原発を狙うほど、北朝鮮の連中はバカじゃないよね」
「そうだよね、発射するなら的の大きな大都市を狙うよね」
とまあ、こんなような話をしていたからこそ、ついポロッと披露してしまったのだろう。そうでなければ、咄嗟に口をついて出るような話じゃない。ある意味、「できすぎのバッド・ジョーク」である。
この会合で彼は、「規制委の審査が厳しく、(原発停止が)長期化している」との指摘に、「事業者には厳しいと思うが、動かしたいなら耐えていただく。(審査を)緩めると、安全対策がお金との兼ね合いになる」と述べた。彼は原子力ムラの住民だとばかり思っていたが、このコメントに関しては案外評価していいと思う。
というわけで、あのバッド・ジョークはそれほど感情的になって責め立てるほどの発言でもないと、個人的には思ってしまうのだよね。ただ、毒のある冗談は英国辺りじゃフツーだったりするし、田中氏ご自身も英国紳士っぽいお見かけなのだが、感情論が優先しがちな日本では、ちょっと注意した方がいいという教訓にはなったかも。
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