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2017年7月25日

裏で初めから決まってるのは、加計学園問題だけじゃない

昨日の衆議院予算委員会での閉会中審査で、加計学園の特区への申請を知った時期について質問された安倍首相は、「1月20日に申請が正式決定した時点」と、白々しい答弁をした(参照)。まあ、言わせておこう。本当にそんな呑気なことだったら、首相なんて務まらない。

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お役所のやることなんて、大抵のことは初めから裏で決まっていて、表向きの会議は単なるセレモニーにすぎない。そのことについては、5年前に "国の施策なんて、大抵「秘密会議」で決まる" という記事で書いている。

私は昔(といってもそんなに大昔じゃない)、複数の公的な団体に在籍したことがあって、その関係で政府や東京都が実施するいろいろなプロジェクトの「諮問委員会」なんてものに参加させられることがあった。公の施策は、その「諮問委員会」の出した結論に沿って実施される形になっているのだが、実はその内容なんて、初めから裏で決まっているのだった。

諮問委員会の委員は、業界団体代表として「並び大名」のごとくに顔を連ねさせられるが、ほとんど全ての場合は、「業界の意見を広く吸い上げました」という形式的なアリバイを作るためのダシに過ぎない。会議なんてまったくの予定調和で、あれよあれよという間に進行してしまうのだから、委員が口を挟む隙なんてほとんどないのだ。

たまに当然のことをしつこく質問したり食い下がったりする委員がいるが、そんなのは「空気を読めないヤツ」として白眼視される。どんなに食い下がっても、結局のところはうやむやのうちに無視されるに決まっているのだから、私はこんな委員会ではほとんどシラけているだけだった。

総理大臣が直接関与するほどのものでもない小さなプロジェクトに関しては、諮問委員会を開く前に現場と官庁の役人が「プレ・ミーティング」などと都合の良い名前を冠した秘密会議を行って、概要はこっそりと決める。一方、かなりエラい人が関与しているような利権性の強い案件に関しては、さらに秘密性の高い場を作って、粛々と進行させるのだろう。

だから例えば総理大臣なんかは、プライベートで親しくしている人間が密接に関与しているプロジェクトなんかに関しては、少なくとも公式の場では「彼のこと、よろしく頼むよ」なんてことは言わない。そんなことは言わなくても、これ見よがしに一緒にゴルフや会食をしてさえいれば、周囲は思いっきりソンタクしてくれる。そもそも、それが一番の問題なのだが。

つまりたいていの場合は、最高権力者は具体的なことは言わなくても、周囲が勝手にいいようにしてくれるのである。というわけで、今回にしても「初めから加計ありき」だったなんてことは、すべての状況証拠からして、そりゃもう言うまでもないことだ。

安倍さんという人は、憲法改正だの靖国だの教育勅語だのを大きな声で言いさえすればすぐお友達に加えたがるような人らしいので、政界にも民間にも、妙なお友達をいろいろ単純に作りすぎたんだろうね。人を見る目がなさ過ぎなので、そのお友達ラインから自己崩壊が始まっている。

 

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コメント

国家公安委員会(警察庁のお目付け役)なんていうのがあって、週一だか月一だか忘れましたが、一時間ほど会合に出るだけで、年に勤め人五人分くらいの手当てが出るそうですね。
だから空気を読まない人なんて出ないようです。空気を読まない委員がいると退任をチラつかされビビるようですね。
空気をよく読む委員は10年くらいやってる。

投稿: ハマッコー | 2017年7月26日 20:56

ハマッコー さん:

ほほう、それは畑違いとはいえ、全然知りませんでした。ずいぶんボロい商売ですね。

投稿: tak | 2017年7月26日 21:04

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